FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

重なる記憶(8) 【ケイト&ネメア】

ケイトが母屋に戻ると、クノアだけがひっそりと暖炉の前で丸くなっていた。
ノノアの姿は見当たらないので、レミが預かってくれているだろうことはすぐに見当がついた。

隣に座り、肩掛けをそっとかけてやる。
するとクノアが身を捩り、目を覚ました。

「悪いな。起こしちゃったか」
「んーん、大丈夫。少しうとうとしていただけだから」

クノアの首元から、エステルの首飾りがちらりと見える。
そういえば受け取り忘れていたなと、苦笑した。

「クノア。そろそろ返してもらうよ」

少年は目を丸め、仕方なしといった様子で首飾りを返した。

「みんな、村長の家に集まって寝ているんだろう? どうして一緒にいなかった?」
「だって……。ここで眠れば、ケイトが戻ってきたことを確認できるだろ」

クノアは身を起こすと膝を抱えて、暖炉に灯された火をじっと眺めた。

「どうしてアタシにこだわるんだ。あんなにいたモンスターを一人で倒したんだぞ? 普通は怖いだろ」
「怖いよ」

返答は早かった。

「簡単にモンスターを倒していくし、死体は平気そうに運ぶし、夜なのに怖がらずに出て行くし」

笑いながら言うものだからつられて笑ってしまう。
どうしようもない。慣れてしまっているのだから。
ギルドでモンスター退治の依頼を受けるのは普通だ。
戦争にも参加した。善も悪もない、無意味な争いのなかで、ただ一人の命を守るために戦った。
夜に抵抗なんてなかった。

「でも、ケイトがここにずっと居てくれたら良いなって思ってる」

ケイトは目を伏せて、ネメアが言った言葉を思い出す。
お前はもう充分に戦った。充分傷ついた。だから旅はここでお終いにしよう。

「アタシはここに居ていいの?」

クノアは、ぱっと顔を輝かせて頷いた。
しかし、その顔もすぐに曇る。
ケイトは顔を覆い、声を抑えて泣いていた。

「ケ、ケイト、どうしたの!?」
「分からない。分からないんだ。どうやって生きればいいのか。
 ネメアは好きに生きていいと言うけれど、アタシにとってそれが一番難しい問題なんだ」
「どうして?」
「自分が怖いんだ。アタシは、慕ってくれた子を、この手で――――もうそんなこと嫌なんだ。この力がいつ、お前を襲うか分からない。頼むから、アタシを善い人だと思わないで。もう散々だ……」

クノアは振り返った。
ネメアが母屋に入ってきて、ケイトの隣に座った。

「やはり、まだ眠っていなかったのか」
「心配性だな、アンタは」
「早く眠らなければ、体に障るぞ」

クノアは思い立ってネメアの手を引っ張り、母屋から出た。

「ネメアさん」
「なんだ?」
「ケイトは、どう生きたらいいか分からないんだって」
「そうか」
「俺、やっぱり我がまま言っちゃダメなのかな。ケイトはここに居たくないのかな……」
「クノア」
「なに?」
「クノアが諦めたら、ケイトもここに残ることはないだろう。
 君が心から彼女を求めたら、ケイトはきっとここに残るはずだ。もちろん私もだ」
「俺次第なの?」
「そうだ。ケイトにこう言ってくれ」

ネメアはクノアに耳打ちをして、クノアは頷く。
ケイトの心を開くにはこの言葉しかない。
足を引っ張り合うのではなく、頼るのでもない。

二人は母屋に戻り、クノアはケイトの前に座った。
ケイトは驚きネメアと交互に見返すが、ネメアは首を振った。

「ケイト」
「な、なんだ」
「共に生きよう」

ケイトは目を見張り、泣き笑いを浮かべた。


「どうせネメアに吹き込まれたんだろ」
「だって、そう言えって」

疲れを滲ませた顔でケイトはネメアを見上げた。

「もう少しだけ、あと少しだけ考えさせてくれ。帰ってきたら必ず答えを出す」

*   *   *   *   *   *   *   *   *   *

空にゆっくりと朝の光が差し込む。
静まり返った森のなか、ケイトは衣をまとい、剣と盾を持ち、村の柵門に立っていた。
ネメアはケイトを見守った。

「ケイト」

ゆっくりと振り返る少女はいささかやつれた顔をしていた。
一晩中、考え込んでいたのかもしれない。
ネメアは、一度は止めたのだ。その体調で行けば死ぬかもしれない。
しかし、ケイトは譲らなかった。

「もし帰ってこなかったら……迎えに来て」

ネメアは一瞬戸惑い、頷いた。
ケイトは苦笑すると歩き出した。
ザギヴが口ずさむ、あの歌を歌いながら――――。

次回 重なる記憶(9) ≫

ありがとうございました&お疲れ様でした
  クリックしてくださると励みになります!!

ブログトップへ戻る
ネメア編作品リストへ
スポンサーサイト



*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー