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一章 春の訪れ (1)

 それまであった体温がどこかへ消えた。
 美都は手を伸ばして探すが、シーツをなでつけるだけに終わる。
 とたんに不安が膨れ上がり跳ね起きた。

「先輩!?」

 ゴールデンウィーク一日目の朝は快晴だった。
 レースのカーテンから差し込む朝日に目を細め、部屋を見渡す。
 恋人の姿はなく、美都はゆっくりとベッドから足を下ろした。
 震える心臓を抱えて、恋人を探す。
 眠っている間に彼が居なくなったことがあり、トラウマになっていた。
 あれ以来、彼は黙って居なくなることはなくなったはずなのに。

(やだ……今日は嫌な予感がする)

 部屋の扉を開けて、リビングをうかがう。
 そこは静かで物音一つない。

「先輩……、先輩、居ないの?」

 呼ぶ声が震えて涙がにじみだす。
 リビングの真ん中で立ち尽くし、泣きそうになるのを必死に堪える。
 そんな時。
 
 家の扉の鍵が開いて、ガチャリ、と重い音を立てた。
 ゆっくりと扉を開けて入ってきたのは、恋人の姿だった。

「あ、おはよう」

 のん気に笑って、両手には買い物袋を持っている。
 靴を脱ぎながら彼は話を続けた。

「今日は九時からタイムセールだったんだよね。
 冷蔵庫のなか空っぽだったし、ちょうど良かったよ。
 朝は俺が作るよ。 なに食べたいか聞けばよかったんだろうけど、美都ちゃんぐっすり寝てたか、ら?」

 リビングに買い物袋を置いた高木は、突然の出来事に面食らった。
 美都は高木の体をこれでもかというくらい強く抱きしめていた。

「また居なくなると思った……」
 
 涙声で呟く彼女に、高木は苦笑した。

「ごめん。 もうしないって言ったの信じてくれてないんだな」
「だって先輩……私に遠慮してる気がするもん」
「そんなことないよ。 まぁ、確かに今朝は起こせなかったけど」

 高木は美都の両頬に手を添えて、上を向かせた。

「昨日が昨日だったから、ね? 疲れてると思って」

 美都は真っ赤になって、高木の肩を押した。

「もう、馬鹿!」

 そっぽ向いて背中を見せる美都に、高木は後ろから抱きすくめた。
 慰めるように、あるいは機嫌をとるように頭をなでる。

「二人きりのときは先輩はダメって言ったろ」
「まだ慣れないんだもん……」
「ダメ、言って。俺の名前」
「雅之……先輩」

 高木は喉で低く笑って、美都の首筋にキスを落とした。
 腕を解いて、ぐしゃぐしゃと頭をなでる。

「顔洗っておいで。朝ごはんにしよう」

 美都はキスされたところを押さえて、目を伏せた。
 先輩がここに居る。 よかった。

「顔洗っている間に、また出かけたりしませんよね」

 念を押すように確かめると、野菜を洗う手を止めて高木が振り返った。

「行かないよ。こっち、おいで」
「え?」

 誘われるままに高木の横に立つ。
 高木は微笑みながら、手を持ち上げて美都の頬につけた。

「きゃ! 冷たっ」
「早く顔洗って来ないと、冷水の刑だ」
「なんですかそれ」

 頬やら首やらに手を当てられて、美都はキャッキャと笑いながら逃げた。

「どこにも、行かないでね」

 美都は背中を向けたまま呟き、洗面所に消えた。

「愛されてるよなぁ~」
「うるさいですよ!」

 大きめの呟きに、洗面所から一喝が飛んでくる。
 高木は微苦笑を浮かべて、朝食作りを続けた。






ありがとうございました & お疲れ様でした。

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亡国のシャンデリア 目次
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*Comment

No title 

わあ~ヾ(*´∀`*)ノ
いいな、いいな。
こういうラブな雰囲気大好きです。
思えば、デジャヴ様の恋愛SSを読み始めたのも、
このシーンを読んで、
この作者さんのラブストーリーが読みたい!と思ったのが
きっかけでした。
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.06/09 15:54分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

こんばんは^^
訪問、コメントありがとうございます。

気に入って頂けて嬉しいです。
ラブストーリーは私の妄想全開なので、時々暴走してます(笑)
恋愛SSも思い浮かんだら更新しますので、お楽しみにっ♪
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/09 23:05分 
  • [Edit]

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