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【恋愛SS】 ココアな二人

今日は恋愛SSだけ上げます。 お仕事でちょっと疲れちゃった(苦笑)
体力なさ過ぎ すみませんil||li_●/ ̄|_il||li  明日はちゃんと上げます!!
 2013/01/29



↓  ↓  ↓  ↓



 26歳になった今でも、コーヒーは飲めません。
 お腹を壊すのです。
 会議どころではなくなるのです。
 しかし、それを私は公表することが出来ずにいます。 高すぎるプライドのせいです。

「お疲れさん」

 差し出されたコーヒー缶。 それもブラック。
 先輩の悪意を感じます。 先輩の腹こそ黒いんじゃないですか?

「ありがとうございます。 頂きますね」

 こんなときでも私は完璧な笑顔で応える。 
 ――――これが、デキる女。
 
 デキる女であることが、私の不文律だった。
 こういう女は結婚できないと世間では噂されておりますが、私にもちゃあんと恋人はおるのです。
 
 ただ、あと二年もつかどうかを考えると、どうだろう。
 28歳で結婚する、というのが私の目標だった。

 メールの知らせる震え。
 携帯を開いて確認すると、私の恋人をしていらっしゃるお方からのメールでした。

“ ごめん、今日はいけない。 改めて連絡するよ。 ごめん ”

 私は、デスクに突っ伏した。
 男が二回「ごめん」を使う時は、別れの兆しだった。

「急にどうしたんですか、先輩」

 二つ下の後輩社員が、哀れな私に声を掛けてくれた。
 若いって良いなぁ、と頬をつけたまま彼を見上げた。

「先輩も充分、若いじゃないですか」
「そうね。でも、あと二年でそれも終わりよ」
「せ、先輩?」

 残業をしているのは、私と、彼と、先輩社員一人だけ。
 その先輩社員も、たった今帰って行った。
 後輩の五木(いつき)くんは私の隣にしゃがんだ。

「残業、辛くてそんな顔しているんですか?」
「そうじゃないの。そうじゃないわ……」
「泣きそうな顔をしてますけど……」
「別れの兆しを見たのよ。でも、いいの。 ……人と人はいつか別れなければならない日が来るから」
「悟りでも拓きそうな勢いですね」

 気を取り直して、仕事に取り掛かる。
 どうせあと30分もすれば終わる仕事だ。
 サクサクと続けて、さて終わろうかという時に、五木くんが立ち上がった。

「先輩、コーヒー苦手なんですか?」
「へ?」

 初めてだった。 そんなことに気付いてくれる人は、初めてだ。
 びっくりして、固まった。

「や、やあね。 どうして?」
「いえ、先輩がコーヒーを飲んでいるところを見たことないので」
「そう? たまたまじゃない?」

 いつもの調子でデキる女をテキパキと作り上げていく。

「ただ、喉が渇いてないだけよ」

 そうですか、と五木くんは笑って部屋を出て行った。
 トイレだろうと思い、構わず仕事を終わらせる。
 やることを済ましてPCをシャットダウンさせ、ふとふり返ると、五木くんのデスクは綺麗に片付けられていた。
 なんだ、とっくに終わってるんじゃない。

 もしかして、待っててくれた?
 それはそれでちょっと悔しいかもしれない。

「先輩」
「わ!!」
「あ、すみません。驚かせちゃいましたね」
「い、いいえ。 大丈夫……どうしたの?」
「仕事終わりましたね。 はい、コレ。 お疲れ様でした。熱いので気をつけてくださいね」

 そう言って五木くんが差し出したのは、缶だった。 
 ココア……。

「えっと?」
「甘い方が苦手でしたか?」
「う、ううん! こっちの方が好き……じゃあなくて。頂きます」
「いえ、どうぞどうぞ。 疲れた時には、やっぱり甘い物ですよね」

 ニコニコと子供のように笑って、彼もココアを飲んでいた。
 私も一口飲んで、喉が渇いていたことに気付かされる。
 胸が温かくなって、息が詰まってしまったら、もうダメだった。

「せ、先輩!? どうしたんですか!?」
「彼氏と……別れるかもしれない……。さっき、メールが……なんで、こんなくそ忙しい時に……!!」 

 泣きたいのか、怒りたいのか分からないまま、私は叫んでいた。
 五木くんは困惑ぎみに、私にティッシュを一枚くれて言った。

「それでさっき、辛そうな顔をしていたんですね」
「……顔には出してないつもりだったのに……」
「仕方ないですよ」
「そうね。仕方ないことよね」
「まだ、かもしれない、って時点で別れるかどうか決まってないじゃないですか」

 励ますように五木くんは言ってくれる。
 優しいなぁ、ココアみたい。
 私が呟くと、五木くんは急に真面目な表情をつくった。

「先輩、ココアは好きですか?」
「え?」
「今持ってるコーヒーより、ココアの方が……良いかもしれませんよ」

 五木くんは、恥ずかしそうにしながらも私の目を見た。

「別れるかもって思わせる男より、俺を選んでみませんか」
「あのっ、えっと」
「確認してみてください。 ……別れるかも、か、別れないか。
 それで、別れたら俺のこと考えてみてください」



 あれから一週間後に、私と恋人は別れた。
 五木くんにはずいぶん待たせるようなことをしてしまった。
 だから、これはお詫びだ。

 お昼に、そっと彼のところへ行ってみる。

「あ、先輩! お疲れ様です、どうしました? 俺、なにか失敗しましたか?」
「いえ、そうではなくて。 あの……差し入れ……」

 そっとココアを机に置いた。

「先輩、これってまさか」
「ココア……好きになれそうなので……」
「はい」

 五木くんは、優しく笑った。
 甘い、甘いココア。 私には不似合いじゃないだろうかと心配になる。

「大丈夫ですよ、先輩。先輩も俺の前じゃあ、ココアみたいですから」

 あの日、五木くんに泣き言をもらさなければ、私はここまで女々しくはならなかったのに。
 彼の笑顔の前だと、デキる女にはなりきれなくて。
 どうしても甘えてしまう。

「なんだか胸焼けしそうね」
「じゃあ、コーヒーにします?」
「……いやです」
「はい」

 今日も私はコーヒーを飲まず、五木くんがくれるココアに満足しておるのです。








ありがとうございました & お疲れ様でした

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