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レディ・バレンタインの唯一の人

バレンタインは大きく息を吸って、ゆっくりと長く吐き出した。
ドキン、ドキンと早くも心臓が高鳴っている。
震える指先で扉を開けた。

ガラガラガラ……。

音が響いて、余計に緊張した。
司書がにこっと笑って「久しぶり」と言った。
バレンタインは会釈をして、顔を強張らせながら奥へ進んだ。

どうか、エルバとラウルが鉢合わせていませんように。
強く願った効果かどうかは分からないが。

「来てくれたんだ。ちょっと予想外、かな」

優しい声が笑いを含んで、書架から出てきた。エルバの姿はどこにもなかった。
妙な気恥ずかしさにバレンタインは顔を真っ赤にして、ラウルのそばへ寄った。

二人は、できるだけ人に聞かれないように奥へと行き、窓辺に寄り添った。

「バレンタイン、改めて言うよ。俺と付き合おう」
「どうして、私なんですか。私なんか何の取り得もないし、先輩とは不釣合いです」

ラウルはいっそう柔らかな表情で、バレンタインの頭を撫でた。

「ここで出会った日。
 天才と呼ばれ孤高の存在であるバレンタイン。
 きっと鼻持ちならない人間だろうと想像していたんだ。
 でも、実際には違った。
 写真集を抱きしめてしゃがみこむ君が、今にも壊れそうで、可哀想で、守りたいと願った。
 一目惚れだった。男は、そういう女の子に弱い生き物なんだよ」

バレンタインはラウルを見上げた。
言いさしたところで、ラウルの指先がバレンタインの唇に当てられる。
指先から伝わる、ラウルの体温に再び頬に熱が帯びた。
だが、ラウルは気にした風でもなく、真面目な顔で呟いた。

「音が……」

中庭から、ヴァイオリンの音色がかすかに響いてきた。
心が震えた。

サス、の音じゃない。
それが分かる。
どうして。
ずっと見てきたから。
誰を。

「エルバ……」

ラウルは目を細めて、窓の縁に手をかけた。
バレンタインは混乱しきった頭でこの曲のタイトルを思い出す。

「貴女が愛した私」

二人の声が重なる。
「どうか私の恋を夢にしないで」という文句が有名なオペラ曲だった。

つまり、これはそういうことなのだろうか。
窓に張り付くようにじっと中庭を見つめていると、エルバがふいにこっちを見た。
目が合ったような気がして鼓動が早くなる。
エルバは微笑みながら、楽しそうにヴァイオリンを奏でていた。
自信満々に弾くところが彼らしいと思った。

バレンタインは重たい言葉をどうにか喉元まで持ってくると、一気に思いを伝えた。

「うまく言えないんですが……、私、先輩にドキドキしたけれど……。
 その、先輩に怒ったり、妬いたりできません。先輩は素敵で、やっぱり王子様でした。
 みんなの王子様になっても、きっと私、怒ったり、泣いたりできません。
 でも、私……エルバ君にはみんなのエルバ君になってほしく、ありません」

ラウルは小さく息をついて、そっか、と声を落とした。
バレンタインは恐る恐るラウルを見上げた。向き合うと、決めたから。
まっすぐに見つめると、ラウルはいつもの微苦笑でバレンタインを見下ろした。

「わかったよ。ありがとう。それじゃあ、またね」

ラウルはさっと背を向けて去っていった。
こんなときまでラウルは大人だった。

バレンタインは、ごめんなさい、を繰り返し心の中で呟いた。
そんなとき、コンコンと窓を叩く音がした。








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前へ ≪ブログトップへ戻る≫ 第50話 レディ・バレンタインとエルバ・ローウェン
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*Comment

 

おはようございます!
更新お疲れさまです( ^^) _旦~~

図書館の扉を開けるとき、まさかの鉢合わせパターンだったらどうしようと、私もドキドキしました。
なるほど! 
これは絶対に図書館でないと・・・・・・でもそれ以上にエルバ君、自信家だ(笑)
一歩間違えば自爆だけど、ちゃんとバレンタインの性格もわかっているのね(//▽//)
キュンキュンしちゃいました❤

そして、本当にラウル先輩は大人で王子様ですね。
いいなぁ~「守りたいと願った」なんて誰か言ってほしいww←?!
でも一緒に過ごす人は王子様じゃなくて、怒ったり笑ったりできる人でないと・・・・・・ちゃんと自分の足で立てるし。
バレンタインはやっぱり素敵な女の子です❤

しかし、図書館に入ってきたのは誰だろう??
もうすぐ終わってしまうのが楽しみでもあり、さみしくもありますが、とても素敵で楽しい時間をいつもいただいています(*^_^*)
最後まで丁寧に大切に育ててくださいね!
楽しみにしています~♪

  • posted by 椿 
  • URL 
  • 2013.01/25 07:26分 
  • [Edit]

Re: 椿さんへ 

こんにちは!
訪問&コメントありがとうございます♪
ラウルは「付き合おう」と上から目線で来るものの、本質が王子様なため強く攻めきれませんでした。

第五話「レディ・バレンタインの噂」
≫校外でむせび泣く予言者を見かけたサラは、思わず声を掛けた。

実はここと情景をかぶせてあります。
あの日のラウルは、自分と同じような存在(バレンタイン)に思わず声を掛けてしまうんです。
天才と言われる孤高の存在――同じポジションに居るからこその言葉だったんです。
ラウルが本当に守りたかったのは、バレンタインなのかそれとも・・・。
ちょっと解説を入れてしまいました(苦笑)
私だったら王子様なラウルを選びますけどね☆←

さて、エルバですが・・・自信家で突っ切りますw
まさに嵐のような存在ですからね。人のことをあまり気にしませんw
いつでも全力を出すのが彼です、妥協しない性質なようです。そして自信家・・・。
フラれるとは全く思ってません(o'ω'o)b 笑っ

温かいコメントありがとうございます♪
最後の最後まで頑張りたいと思います!!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.01/25 13:22分 
  • [Edit]

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