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レディ・バレンタインとアンダンテ

生徒たちからの視線を一声に浴びて、バレンタインはしりごみをした。
緊張のあまり「あの、えっと」と口ごもる。
だが視界に、陰口を言っていた人物が映り、バレンタインはぐっと腹に力を入れた。
いつまでも逃げていられない。ちゃんと、音楽と向き合うって決めたんだ。

「難しい曲をやれば、それだけ解釈の幅も広がると思います。
 でも、私たちにはまだ早い気がしたんです。
 私たちは幼い頃からヴァイオリンと共に生きてきました。
 
 その時のことを思い出してみてください。
 
 急に難しい曲に挑戦することはなかったと思います。
 弦楽四重奏も、そうだと思ったんです。
 私たち個人レベルの技術は高いかもしれません。ですが、音色、メロディーの表現方法は人それぞれになる。
 
 私たちは作曲者のメッセージを、できるだけ正しく伝える義務があると思います。
 だから、曲解釈や表現方法まですべて統一することにだけ集中しました」

言葉を切って息をつくと、フィオンが片手を上げた。
バレンタインは瞬き、目だけでフィオンを促した。


「レディ・バレンタイン――君が思う、この曲のメッセージとはなにかね」

バレンタインは「はい」と小さく答えて、教室を見た。
未熟な奏者たちに送られた、メストールからのメッセージ。
それは。


「 Andante 」


小首を傾げる者たちへ、バレンタインは伝えた。


「音楽の速度標語だけでなく、メストールはこの言葉の意味そのものにメッセージを込めたんだと思います」


ゆるやかに、歩くくらいのテンポで。


「焦らずともゆっくりと、でも着実に進めばいい。
 それが、メストールが贈る娘へのメッセージだと思いました。
 だからこそ、ヴァイオリンの基礎技術を多く散りばめた曲になっているのだと思います」
「分かった。それじゃあ、そろそろ発表してもらおう」

フィオンが言い、バレンタインたちは楽器を構えた。
エルバがちらりとバレンタインを見て、小さく耳打ちをした。

「良く頑張ったな。後でご褒美やるからな」

バレンタインは微笑んで「ありがと」と囁いた。
そのままバレンタインとエルバは目を合わせ、息を整える。
何度も、何度も練習した場所。

大切な入りの部分。

――君なら大丈夫だよ。

その言葉を思い出し、エルバと一緒にカウントを取る。


(私なら、出来る)


弦が、震えた。
バレンタインたちの弦楽四重奏が始まる。






ありがとうございました&お疲れ様でした

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*Comment

 

こんばんは!

更新お疲れさまです( ^^) _旦~~

バレンタインの言葉に、思わずウルッとしてしまいました。

緩やかに、歩くくらいのテンポで。
確実に、でもしっかりと!

簡単そうに見えて、本当に難しいことです。
4人の音を合わせるのは口にするほど簡単じゃないけど。
大丈夫、君たちならできる!
思わず感情移入してしまいました(^^;;

でも、ちょっぴりドキドキもww
エルバ君、ご褒美って~❤

楽しみにしていますね~♪

PS. 養命酒、なにげに「うへぇ」ですよね;;
    効果は大だけど、つい梅酒やホットワインに逃げてしまいます←
  • posted by 椿 
  • URL 
  • 2013.01/22 01:10分 
  • [Edit]

Re: 椿さんへ 

こんにちは、訪問ありがとうございます♪

そう言っていただけてとても嬉しいです!
題名を「Andante」に決めた瞬間に、この場面が浮かんでいました。
この場面を書きたいが為に、今までの話は紡がれてきたといっても過言じゃありません。
ちょいちょい遊んでますけどね(笑)

養命酒の味から逃れるために、口直しにチョコレートを食べたらむせました。
最悪の組み合わせのようなので口直しのチョコレートはオススメできません(笑)

コメントありがとうございました!!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.01/22 14:29分 
  • [Edit]

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