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レディ・バレンタインの自覚

楽器から生まれるメロディーは、目に見える形で魔法となり海へと沁みていく。
すると、海水のシャボン玉が出来上がりイルカを優しく包んだ。
シャボン玉はゆっくりとイルカを沖へと運び、海水のシャボン玉は海の中で弾けて消えた。

何十頭にも及ぶイルカが、サラたちの演奏によって海に戻され、浜に残るイルカたちも徐々に少なくなっていった。
だが、同時に生徒たちにも影響が出ていた。
魔力を消耗し続けた結果――次々に手を止めてしまったのだ。

「もう……ダメ。弾けないよ」

ある女子生徒は悔しげに言った。
弓を掴む指にさえ力が入らない。

地元の人々が駆けつけて声援をかけてくれるのだが。
どうやったってもう力は出ない。魔力が残っていない生徒たちは、悔しさを露わにした。
まだ演奏している生徒たちは、人数が減ったぶん、より魔力を消耗しなければならない。
奏者が減る速度が増していった。
サラは顔をしかめながらも、奥歯を噛みしめて懸命に演奏した。

(私は諦めない。絶対に、なにがあっても)







グループテストまで、あと二日。

いまだに、エルバに謝っていないバレンタインだった。
頭のなかでイメージして、言うべき言葉も決まっている。エルバの前に立ってちゃんと謝ろうとしたこともあった。
だが、本人を目の前にすると声が出ず、懸命に振り絞った言葉は他人行儀なあいさつだった。

そして、謝るべき人物はもう一人いる。
ラウルにも、ちゃんと謝らないといけない。

「どうしたの、三年の教室まで来て」

上級生たちの視線を浴びながら、バレンタインは今にも泣きそうな顔でラウルを見上げた。

「謝ろうと、思って」

普段から視線を向けられることになれていないバレンタインは、声を硬くしながらも、なんとか言った。
ラウルは少し驚いて、それから感心したように微笑んだ。
背中に手を回されて「移動しよう」と言ってくれた。
どこまでいってもこの人は優しい。大人の余裕のようなものを感じる。

教室から離れてもラウルのクラスメイトらしき人たちが、こっそりこちらを覗いていた。
それに気付きながらも、ラウルとバレンタインは知らないふりをして向かい合った。

「俺も、ごめん。興味本位で詮索するべきじゃなかった。
 本当なら彼に謝るべきなんだろうけど。
 わざわざ真実を暴いて彼を傷つけることはないと思うから、代わりに君に謝るよ。
 もちろん、君にもすまないとは思っているよ」

バレンタインはスカートをぎゅっと握って、肩を震わせた。

「そんなことありません。先輩が私に謝る必要なんてどこにもありません。
 私……、私は、先輩とエルバ君にひどいことを言いました。
 八つ当たりだったんです。自分の情けなさに苛立っただけなんです。ごめんなさい」
「うん。もういいよ。もう、いいんだよ。だから泣かないで」

泣いてはいないけれど、なんとか堪えていたけれど。
ラウルの気遣いだと知って、ただうなずいた。







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*Comment

 

こんばんは!
更新お疲れさまです( ^^) _旦~~

謝りたいと思っていると切って、頭の中でシュミレーションはできているのに、本当に言葉にしようと思ったら詰まってしまいます(@_@。
がんばれ~バレンタイン!
きっとエルバ君も同じ気持ちですよね。
素直になりたい時ほど、言葉が渋滞してしまう><
でも、ラウル先輩、余裕ですねw
こういうちょっとひと癖ある人ってひかれてしまいます♪

寒いし乾燥が激しくなってきたので、風邪をひかないようにしてくださいね!
またトキメキをいただきにまいります~❤
  • posted by 椿 
  • URL 
  • 2013.01/16 00:54分 
  • [Edit]

Re: 椿さんへ 

こんばんは!
コメントありがとうございます!

謝るってなかなかできませんよね。
ちゃんと言おうとは思うんですけど、謝る気もちゃんとあるんですけど言葉が出てくれないんですよね。
私の場合は、言葉の接触事故を起こしてしまいます。一言多いんでしょうね(苦笑)

ラウルは王子様キャラですからw
どこまでも輝いてもらわなければww

もう少しで『Andante』も終わりを迎えられそうです。
どうぞ最後までお付き合いください! 頑張ります!

温かいコメントありがとうございました!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.01/16 01:19分 
  • [Edit]

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