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もう一つのメリークリスマス(14)

「この小さな夢を抱えて――」

喉を慣らすために美都は歌い始めた。
久しぶりに歌を歌う。
歌うことは嫌いじゃないが、なんとなく歌うことを避けていた。

ポロン、ポロン……と弦が震える。

路上ライブをした時の光景が、脳裏に蘇る。

一瞬、立ち止まって見てくれるが、そのまま聴いてくれることはなかった。
クスクスと笑われている気がして歌うのが怖くなっていった。
嫌な想像ばかりが浮かび上がって、五曲歌おうと思っていたのに、結局三曲しか歌えなかった。
自信があって上京してきたのに、この程度で終わってしまった。
そんな自分を見損なって、ガッカリして、自信過剰だったのだと思い知らされて。

「美都ちゃん」

次第に声は小さくなっていって、いつの間にか歌うのをやめていた。
高木に呼ばれて、美都は力なく笑った。

「ダメですね。歌えると思ったんですけど、いろいろ思い出しちゃって」

何度も練習したフレーズを弾く。
ギターならいくらでも弾けるのに。
声だけが出てくれない。

「無理なら、歌わなくても良いんだよ」

そう高木に気を遣われる。
でも、と美都はうつむく。
引き受けたからにはちゃんとこなしたい。
それに、あの人たちに少しでも楽しい時間を過ごしてもらいたい。
楽しませられるか、自信はないけれど。

「あ、そうだ!」

美都は思い出しながら、フレーズをいくつか弾いてみた。

「先輩」
「ん?」
「一緒に歌いましょうよ」
「え? 俺!?」

伴奏を弾きながら、美都は言った。

「ジングルベルですよ、せーの!」

渋々、という感じで高木は歌いだした。
歌詞が思い出せないのか、口ごもった歌い方にとうとう二人は噴き出した。

「もうダメ! おかしすぎて歌えない」
「あとちょっとだったのに、先輩はもう」

高木と美都は声を上げて笑いだした。
寒い部屋に、心地よく温かな雰囲気が漂う。

「私、良いこと考えちゃいました。先輩、さっき自分の義務がどうとか言ってましたよね」
「嫌な予感が……」
「王子様の責務、果たしましょうね」

快活な笑顔のもとに、美都はこう宣言した。

「一緒に歌いましょう」





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*Comment

ジングルベル♪ 

こんばんは!

誰かのために歌うのって、簡単なようで大きなことです。
本当にドキドキですね♪
美都ちゃん、大好きです!
高木王子、切ないね。なかなか振り向いてもらえないw
ジングルベル、確かにちゃんとうたおうとすると、歌詞がすぐには出てきません。
鼻歌なら簡単なのに~一緒に歌うのって、キュンとします♪

続きも楽しみにしていますね!
  • posted by 椿 
  • URL 
  • 2012.12/26 23:37分 
  • [Edit]

Re: 椿さんへ 

こんばんは!
お忙しい中、足を運んでいただきありがとうございます!
コメントもありがとうございます♪

美都を気に入っていただけたようで、嬉しい限りです♪
高木は「王子様」「イケメン」と良いとこ取り設定なので、恋愛はストレートにはいかないというw
ごめんね、高木さん(笑)

ジングルベル、出てきませんよね!
私も出てこないから、ストーリー的にもこんな感じになりました((´∀`))
ちゃんと歌えなくて笑えてくる、という雰囲気はリアルでは「あるある」かなぁ、なんて!

正月ムードになる前に完結させなければ( ´Д`)=3ハァ…
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/27 00:25分 
  • [Edit]

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