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もう一つのメリークリスマス(8)

アパートの一室。
美都は苦い顔をしながらも高木を家に通した。

「へぇ、和室だ。それに、センス良いね」

ワンルームにも関わらず狭いとは思わなかった。
この部屋唯一のイスは座椅子のみで、クッションは鮮やかな朱色だった。
ダークブラウンの座卓には、座椅子と合わせたのか、朱色の和柄布が斜めにかけられている。座卓にノートパソコンが一台ある。目に付く電化製品は、台所周りにある物と、このノートパソコンのみ。

「美都ちゃん、テレビ見ないの」
「あ~……お金ないので。それに、携帯で見られるから」
「ちょっと意外だったな。ギターやってるって言ってたから、ロックな感じの部屋を想像してた」
「モノクロにドクロ柄とか」
「そうそう」

コートを脱ごうとした美都を、高木は止めた。

「向こう、寒いから。そのままの方がいい」
「そうなんですか」
「身体も心も寒いところだよ」

悲しそうに笑う理由はまだ分からない。
高木は和製の鏡台の前に立った。

「その鏡でも、大丈夫ですか」
「うん。問題ないよ。それで、良ければ……なんだけど」

言いよどみ頬をかく。

「ギターを弾いて欲しいんだ。向こうで」
「は?」
「今は言えない。というか、実際に向こうに着いてから、弾くか弾かないか決めて欲しい」
「さっきから、そればかりですね」
「ごめん」

少しくらい教えてくれたって良いのに。
美都は口を尖らせてギターケースの前に膝を付いた。

「チューニングしますから、座椅子に座っててください」
「怒ってる?」

ポーン、と弦を震わせ、ペグを回す。
高木は言われたとおりに座椅子に座り、チューニングをする美都をじっと眺めていた。
しばらく無言で調律していた美都は、ぽつりと呟いた。

「先輩のこと知りたくて、でも、我慢しているんです」

弦がまた震える。
美都の小さくて丸い指から、アコギの柔らかい音が生まれる。

「無遠慮に、人様の事情に首を突っ込みたくないから」
「……ありがとう。打ち明けたのが君でよかった。本当に、君でよかった」


チューニングを済ませると、美都と高木は鏡台の前に立った。
高木は鏡に触れると、聞いた事もない言語でなにかを呟いた。
すると、鏡に波紋が出来て、揺らいだ。
体がふっと軽くなる。
身を竦ませる美都を、そっと高木は抱き寄せた。

「大丈夫。俺がいるから。俺を信じて」
「は、はい」

懸命に振り絞った声。
高木はうなずき、美都の肩を抱く手に力をこめた。

「いくよ」





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*Comment

 

こんばんは!

美都ちゃん、想像どうりの子で嬉しいです♪
人様の事情に首をつっこみたくないって、ちゃんと言える人だってわかってるから、高木さんも声をかけたんだよね。
高木さん、人を見る目あるな~なんてw
とうとう鏡を越えて異世界に!!
やっぱりドキドキします~♪
  • posted by 椿 
  • URL 
  • 2012.12/20 21:31分 
  • [Edit]

Re: 椿さんへ 

こんばんは!
訪問&コメントありがとうございます><

美都は一歩身を引いて人と接する性格なので、不満を口にしつつも無理に事情を聞こうとはしません。
それは自分にも立ち入ってほしくない領域がある証拠で。
自分がされて嫌なことは相手にもしない。それが美都の不文律なのでした。

10話完結にしているけど、終わるかな(笑)
終わらないだろうなw

読んでくださりありがとうございました♪
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/20 22:25分 
  • [Edit]

No title 

良いですね!
これから先、どうなるのか楽しみです。
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.06/08 18:55分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

コメントありがとうございます♪
楽しんで頂けて嬉しいです!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/08 20:26分 
  • [Edit]

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