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もう一つのメリークリスマス(6)

「東京に来て……一度だけ、路上ライブ、みたいなことやったことあるんです」

美都はぽつり、ぽつりと語り出す。

「会社の同僚で一人だけ、見た人がいるんです。
 たぶん、先輩に教えた人、私の路上ライブ見た人と一緒です。
 何度も黙っておいてって言ったのに」

今にも泣きそうな顔をして、美都はうつむいた。
高木は静かに美都の話に耳を傾けていた。
美都は力なくふっと笑う。

「私、元々は音楽で食べていけるようにって、上京したんです。
 弾き語りにはそこそこ自信があったし、プロになれるかもって。
 ほら、音楽業界の人が声を掛けてくれて、それでプロになるって話あるじゃないですか」

巻いてきた髪を弄んで、背もたれにぽすっと体を預けた。

「すぐに挫折しちゃったんです。上京を決めただけで、私には精一杯でした。
 それで今に至り……なんて! ここまで話したの先輩だけです。内緒にしてくださいね。
 会社のこととか、色々あるじゃないですか。
 もうそんなこともしてませんし、黙っておいてくれるとありがたいです」
「うん」

素直に、うなずいてくれる。
ほっとして、美都はようやくいつもの笑顔を浮かべた。
しかし、高木はまっすぐな眼差しを美都に向けた。

「まだ、弾ける?」
「え、あ、はい。もちろん」

技術は鈍っていない。最近は仕事が忙しくて触ってはいないが。
いつだってすぐに弾ける自身がある。
だが、高木はゆるく頭を振った。

「そうじゃなくて、気持ちの問題。弾いて、辛いとかない?」

思わぬことを聞かれて、美都はきょとんとする。

「優しいんですね、先輩。少し、見直しました」
「おいおい、俺って結構低く見られてた?」

美都は小さく笑って、あどけない表情を見せた。

「先輩のために弾くなら、辛くないかもしれません」

高木はくくっと笑い、「言うねぇ」と茶々を入れた。

「誰かが聴いてくれるってことが、どれほど嬉しくて楽しいことか知ったから。
 誰かの為に弾くなら、辛くないんです」
「そっか。よかった、そう言ってくれて」
「え?」
「もう少しだけ、待ってて。あとで、全部言うから」

ね? と甘い声で言われる。
そう言うなら後で聞かせてもらおう。
深くは聞かず、窓の結露を拭って外を見た。
車の光が反射して爛々と輝く綺麗な道路がそこにはあった。





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ありがとうございました & お疲れ様でした 


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*Comment

No title 

先輩の甘い声!
良いですね~♪
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.06/08 18:53分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

コメントありがとうございます^^
美声イイですよね♪
わたしは声フェチ(?)なので、描くイケメンは
たいてい美声持ちになってしまいます(笑)
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/08 20:25分 
  • [Edit]

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