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すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

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ノエル戦  (イベント捏造)

近づく足音――言い表せぬほどの、覇気を具えたソウルの気配。
ノエルはごくりと唾を飲み、緊張に震える拳に力を込めた。
レイヴンがノエルのそばに寄る。

「大丈夫か、ノエル」
「大丈夫。みんなが、居てくれるから」

虚勢と見られるかもしれないけれど。
仲間の存在に支えられて自分は立っていられる、そう思うのは本心からだ。

カツン、カツン……。
鋼の鎧が鳴る独特の音。あの音が近づいてくる。

暗闇から現れた人を目にし、ノエルは覚悟を決めた。

(私は、与えられた役目を果たす……みんなのために、世界のために。例え、それが恩人に刃を向けることでも)

「さすがですね、ケイトさん」

漆黒の髪を持つ乙女は、少し驚き、悲しみ、そして、目を鋭く細めた。
まっすぐに向けられた視線は射るほどに強く、ノエルは一瞬たじろいだ。
カフィンとレイヴンが庇うように、ノエルの前に立つ。

「ノエル……止めようよ。アタシたち、何度も協力し合ったじゃない」

ケイトの声に、ノエルは頭を振った。
引き下がれないのだ。今さら引き下がれはしない。

「あなたのお陰で、世界は救われました。ですが、その代わりに世界は新たな脅威にさらされます。それは、あなた」

ノエルは一歩前に出た。
カフィンとレイヴンがノエルに寄り添い、武器を抜く。

「ケイトさん、あなたは強くなりすぎました。
 世界の均衡を保つために、私は、あなたを……止めなければなりません。
 それが、竜王様のご意志」
「姉ちゃんに救われたのに、その姉ちゃんを殺すって言うのかよ!!」
「やめなさい、チャカ」
「けど――くそっ」

ケイトの弟チャカが、ノエルを睨み悔しげに顔をそらした。
隣に立つネメアをも凌駕する力を得たケイト。
その力が最大に達する前に、ケイトを止めなければならない。

「今こそ竜王様のご恩に報いるときだ! 災いの種となるあの女を殺せ」

ナーシェスの言葉に、ノエル、レイヴン、カフィンがうなずく。

「俺は、ノエルに従う。ノエルが敵とした奴は誰であろうと容赦しない」
「ごめんね、子猫ちゃん。とても残念だけれど、本気で行かせてもらうわ」
「ケイトさん、ごめんなさい。だけど、私にも譲れないものがあるんです」

ノエルは剣を構えた。

「ノエルの最後の剣、受け止めてください!」


殺気立ち込めるなか、ケイトは小さく息をついた。
悲しみ、怒り、呆れ、絶望、諦め。
たった一息に様々な感情が込められていた。

ネメアとオルファウスは静かにケイトの言葉を待った。
ケイトが何事かを呟くと、ネメアとオルファウスは顔をしかめた。
だが、ケイトが振り返り強く言うと、不本意そうな表情でうなずいた。

「でも姉ちゃん!」

チャカの言葉も聞かず、ケイトは剣を抜きつつノエルたちの元へと歩いていく。
ケイト以外、誰も武器を構えようとはしなかった。

「どういうつもりですか、ケイトさ――」

ケイトの足元に現れた輝く獅子を、レイヴンは見逃さなかった。

「ノエル来るぞ!!」

レイヴンの鋭い声――刹那――ケイトの剣の一振りで、獅子は疾風に姿を変えノエルたちを襲った。
過敏に反応したノエルは、己の剣で身を守る。
ノエルたちを襲う風圧のなかに、ケイトの怒りを感じた。

「なかなか、やるじゃない」

風が鳴り止んだ頃、ファニーフェイスの笑い声が響き渡るのに混じって、ケイトの声が聞こえた。
レイヴンがノエルを庇い、身構える。

「ノエル、構えろ!」
「はい!!」

ケイトが剣を構え、一歩出した足が地を踏みしめんとした瞬間。

「消えた!?」
「ぐあぁぁあああ!」

ナーシェスの悲鳴が上がり、横を見れば。
花びらを散らしたように、ナーシェスの鮮血が虚空を舞った。
倒れゆくナーシェスの体とすれ違うように、ケイトは地に膝をつけて着地した。

「さようなら、操り人形さん」

ノエルの肝が冷える。
竜王が、ケイトを討伐させる意味がようやく理解できた。

(こんな人が、心変わりをしたら……世界は……世界の均衡が崩れてしまう)

震える脚を叱咤して、ノエルはレイヴンと共にケイトに刃を向ける。
レイヴンの攻撃は素早く、後退した瞬間、ノエルが重い一撃を加える。
ケイトに攻撃させる隙を与えない。

(大丈夫、いける)

背後からカフィンが近づき、三人同時に剣を振り下ろす。

「っ――――姉ちゃん!!」









――――どうして。

ノエルは身体に走る激痛にうめき、悔しさに涙を流した。
地面の冷たさが頬に伝わる。


――――どうして、この人に勝てないの。


――――同じ、無限のソウルを持っているのに、どうしてこの人には勝てないの。

視線の向こうに、血にまみれたレイヴンが倒れていた。
自分へと手を伸ばそうとしてくれる。

「レイ、ヴン……」

ケイトの足が、視界を横切る。
まったく傷一つ与えられなかった。
身体がひどく痛むが、致命傷はなかった。わざと外したのだ。それほどまでに、彼女は余裕だった。

悔しい。

悔しい。

悔しい!

「結局、私は、何ひとつ」

頭が熱くなり、喉が震える。
込み上げる嗚咽は抑えられようがなかった。


(何ひとつ、守れなかった。あなたを越えられなかった)


ケイトの足音が遠ざかるのを聞きながら、ノエルは目を伏せた。
もう、疲れた。

慌しい足音が、地を震わせた。

「ノエル!」

抱き起こされ、うっすらと目を開けると。
ぽたっと頬に雫が跳ねた。

「ケイト、さん……」

ノエルは傷にうめきながらも、目をみはった。
さっきまで残酷な顔をしていた人が、泣いている。

「ごめん。ごめんね、痛かったよね」
「どうして……行ってしまったんじゃ」
「ごめんね、ごめん……ノエル」

頭を引き寄せられ、肩口にケイトが顔を埋めた。
癒されていく傷。
オルファウスが魔法で傷を治してくれていた。
いぶかしむノエルに、オルファウスは肩をすくめた。

「見捨てられないって泣き付かれてしまって」
「え……」
「ケイトは」

ネメアは気を失ったレイヴンをノエルの隣に寝かせると、続けた。
レイヴンもまた、致命傷を外されていた。

「ケイトは、世界を滅ぼそうとはしない」
「………………」
「姉ちゃんは、ずっと俺の姉ちゃんだ。無限のソウルの持ち主でも、世界最強の存在とかでもなく。
 ただの、普通の俺の姉ちゃんだから」
「チャカさん……」

ケイトはゆっくりと顔を上げて、ノエルの額を小突いた。

「お姉ちゃんに手をあげるなんて、最悪な妹を持ったもんだ」
「うぅ……だって、それは」

言ってから、ふと思う。
お姉ちゃんと言われて、妹と言われて、普通に納得した自分がいた。

「私の、お姉ちゃんだもんね。みんなを、幸せにしてくれるよね」

願うように問うと、ケイトは慈愛に満ちた笑みを浮かべた。

「気付くの遅いぞ」
「うん。ごめんなさい……本当に、ごめんなさ――」

ノエルはケイトの腕の中で泣きじゃくった。
この人ならきっと大丈夫。
きっと、きっと――……世界を幸せにしてくれる。

(私はそう信じてる)




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*Comment

こんにちはv 

こんにちはv

ノエル戦は悲しみしか残らないような気がしていたので
このお話は凄く嬉しいです´ω`)
ケイトを慕っていた気持ちとは別に、「あの人に勝ちたい・・」っていう気持ちが原作でもありましたね。
結局勝てなくて、仲間まで、無限のソウルまで失って・・
って本当にノエルは不憫だと思ってました。
こういう暖かいアナザーストーリーは大好きですv


  • posted by hukuya 
  • URL 
  • 2013.07/01 13:48分 
  • [Edit]

Re: hukuya さんへ 

こんにちは^^
訪問、コメントありがとうございます!

ノエルの好感度を上げればあげるほど、イベントが辛いものになっていく…。
そんなの嫌だー!
ということで(笑)
少しでも温かい話があればと思い書きました。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.07/01 15:11分 
  • [Edit]

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