FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第二十回 不器用な彼女

大好きな家族、

大好きな友、

大好きな故郷、

大好きな――……。

どれもこれもが手放せないけれど、いつか別れる時がくる。
もし、その日が来るとしたら……アタシはいったいどれを取るのだろう。

竜王、いや、世界と決着をつける日はそう遠い話ではない。
アタシはどんな最期をむかえるんだろう、と色々と想像してしまう。
誰が敵になるか分からない。

「はあ……」

宿の二階、バルコニーから見上げる星は、いつも変わらない。
この変らない星空を、また見上げることができるんだろうか。


         『不器用な彼女』


廊下から届く足音の静かさから、誰が帰ってきたのかすぐに分かった。
ゆっくりと扉が開かれる。

「おかえり、レムオン。ヴァンとチャカは?」
「馬鹿騒ぎしていたので、置いてきた。
 お前はいつも、あんなののお守りをしていたのだな」
「だからお酒は飲ませるなって言ったでしょう」
「勝手に飲んだのだ。俺のせいじゃない」

まったくあのバカ共は。
アタシは毎度おなじみのため息をついて、振り向いた。
髪を下ろしたレムオンは、以前とは違う雰囲気がある。
ダルケニスだ、と実感する。

レムオンはベッドに腰を下ろして、ゆるく頭を振った。
ふわりと揺れる長い髪。

「女みたい」
「羨ましいか」
「冗談じゃない。女らしくしたらバカにされるだけだもの」

レムオンは喉を鳴らして笑った。
静かに笑うところだけは変らないな、なんて思っていたら急に思い詰めた顔をする。
また良くないことを考えている。
レムオンに関する直感は外れたことはない。

「王宮とリューガ家の行き来の方が好き?」

レムオンは逡巡し、やがて頭を横に振った。

「これが…お前の見てきた世界なのか」
「うん」
「温かい、世界だな。
 誰もが、苦しみ、悩み、傷つきながら。
 それでも……手を取り合って、前に進んでいく。
 俺は王宮を出るまで、そんな世界があるとは信じていなかった。
 いや、信じることができなかったんだ」

レムオンは立ち上がって、アタシの隣にやってくる。
二人並んでバルコニーの柵に寄り掛かった。

「権力闘争では、人を信じることは死に繋がる。
 誰も信じず、誰も頼りにしない。
 相手の弱みを掴み、脅し、そして、消す。権力を掴むということはそういうことだ」

レムオンは己の手のひらを見つめた。
苦い笑みを浮かべて、言った。

「……俺の手は既に血塗られている。
 そんな俺に……お前たちの世界に入る資格があるのだろうか。
 お前のそばにいて、いいのだろうか。
 お前の手を取る資格が……あるのだろうか。俺は……」

「資格は、あるんじゃないかな。アタシが生きていれば、だけど」

そんな痛々しい目で見ないでよ。

「もし、さ……アタシが」
「それ以上言うな!」

激しい勢いで抱きすくめられる。
レムオンがアタシの肩を強く掴む。

「誰にもお前を殺させない! たとえ友と思える者だとしても、お前を殺そうとするなら、俺は」
「レムオン……」
「竜王だろうと、神だろうと、お前の命を狙う者には容赦せん。
 俺にはお前だけなんだ。俺には、お前しか……もう」

あまりの必死さに、アタシは笑ってしまった。
かなり失礼なことかもしれないけれど。
笑わずにはいられなかった。

「なっ、なぜ笑う。人がせっかく」
「最後まで聞きなさいよ。アンタってほんと、どうしようもないんだから」

レムオンの拗ねた横顔に手を添えて、アタシは言う。

「なにがあっても一緒だ。
 いざという時の盾になってもらわなきゃいけないしね」
「貴様っ……俺を捨て駒にする気か!?」
「アタシを散々駒のように使ってきたんだ、死ぬまでこき使ってやるんだから」

ぷんすか怒るレムオンを可愛いと思いつつ、
アタシはレムオンの両腕に背中を預け、空を見上げた。

「さっきのは。
 もし、アタシが生きていたらって言おうとしたんだよ」
「う、うむ。それで」
「アタシが生きていたら、またこうして星空を見たいなぁって思ったんだ」
「俺の腕を支えにしてか?」
「駒の分際で、アタシに愚痴ろうっての?」
「調子に乗るな」

腕の力を弱められ、アタシの頭は後方に落ち――。

「がっ!!」

バルコニーの柵に思い切りぶつけた。
辛うじてレムオンが完全に腕を離さなかったから、衝撃は少なかったとはいえだいぶ痛い。

「て、テメェ……うぅ、痛い。痛いよぉ」

レムオンの腕から逃れて、アタシはしゃがんだ。
あまりの痛みに頭を抱えてしまう。
それを面白そうにレムオンが覗き込んでくる。

ざまあみろ、といわんばかりの目を細めた。

「俺を駒として使えるのか? こんなザマで」
「これだから貴族ってのは嫌いなんだっ! うぅ……痛い、痛いよぉ。
 クソッ! 絶対、死ぬまで駒として使ってやる!」
「だから、それは」

あきれ返ったレムオンの口を、アタシは自分の口で塞いだ。
全然分かっていないんだ、このバカは。

「いい加減、分かりなさいよ」

目を丸めてきょとんとするレムオン。

「駒なんて思うわけない」
「うむ」
「うむ、じゃねーよ。
 アンタ、さっきからなに聞いていたわけ?
 死ぬまで一緒って言ってんの、このバカレムオン。言わせんな」

すくっと立ち上がったアタシにつられて、レムオンもそろそろと立ち上がる。
まだ分かってないようだった。
でも、これ以上は言えない。
竜王との戦いに決着をつけて、レムオンが改めてプロポーズしてくれるまで。


「冷血の貴公子が、顔真っ赤にしてんじゃないよ。みっともない」
「う、うむ。いや、しかし……」
「だから照れないでよ! こっちが恥ずかしくなるじゃない!」
「うむ……すまん」
「もうバカバカバカ! やめてってば!」

バルコニーでそんなやり取りをしていると、廊下からクシャミが上がる。
アタシたち二人が黙り込むと、部屋の扉がそーっと開いた。

「ごめん、姉ちゃん……その、いいところで」
「ぐずぐず……うん、治まった。お、わりぃ! 続けて良いぞ!」

ばつ悪そうにするチャカと、へらへらと笑うヴァン。
アタシはバルコニーの柵に足をかけた。
慌てる三人の止められながらも、アタシはバルコニーから手を離せなかった。
今すぐにでも竜王の息吹にかかりたい気持ちだ。

「は、放せ!! アタシを殺してくれぇぇえええ!!」

「姉ちゃん、早まるな! 傷は浅い!!」

「そうだ! お前は女なのだから、あれくらいの言動当たり前だ!」

「そうだぜケイト! お前は恋にムチューなんだよ!
 レムオンにチューしちゃうくらいな! きししっ」

「「余計なことを言うな!!」」

ロマンチックな雰囲気は欠片も残らず、結局、部屋は喧騒に満ちる。
ロストールの夜は、まだ明けない。



END

執筆中BGM マキシマムザホルモン『恋のメガラバ』

これにてリューガ家「20のお題」は終了です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

これからもジルオールの二次小説は書いていく予定です。
というより「全キャラ」との絡みを目標にしておりますので、これからも応援いただけるとありがたいです。




ありがとうございました&お疲れ様でした

  クリックしてくださると励みになります
ブログトップへ戻る
リューガ家の作品リンクへ
スポンサーサイト

*Comment

20話完結お疲れさまでした♪ 

こんばんわ♪

レムオンの必死な所、ケイトと一緒に笑ってしまいましたw
あの宿屋のイベントは短かったですけど、レムオンの本音が聞けて良かったですよねw
ケイト&レムオンの表情、チャカやヴァンの空気読めない感が
頭の中でイメージ出来て、とても素敵です♪
これからもリューガ家絡みのお話、楽しみにしています♪

  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/10 20:17分 
  • [Edit]

Re: kaorin114 

こんばんは!
いつも訪問とコメントありがとうございます!

> 20話完結お疲れさまでした♪
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました><
7話目くらいから失踪を考えていたシリーズでしたが(おい)
なんとか完結に至りました!
皆様のおかげです(´Д⊂ヽ

楽しんで頂けたようでなによりです^^
チャカとヴァンの空気の読めなさは安定ですね。
でもチャカはほんのちょっぴり空気が読める子と思っています(笑)
これからもレムオンをいじり続けて行きたいですw

> これからもリューガ家絡みのお話、楽しみにしています♪
ジルオール布教活動、まだまだやりますよぉ!!
ロストール大好きなので、ロストールを舞台にしたお話が多くなりそうですw

楽しみにして頂けることがこんなに嬉しいとは><
これからも頑張ります!!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/10 20:32分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。