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レディ・バレンタインと重なる記憶

サラの元に、何度もアーロンが訪れる。
何度も、何度も同じ台詞を言う。

「うそだよね。あの日の言葉、本当は違うよね」
「うそなんかじゃないわ。本心よ」
「じゃあどうして、ヴァイオリンを弾くんだ。君の言動は矛盾してる」

サラは唇を噛み、やがて剣呑な目元でアーロンを睨んだ。
ぴしりと、アーロンの眼前に弓を向ける。

「こうでもしないと力が身に付かないからよ」
「そう、君の実力は驚くほど上がっている」
「は……?」
「君が生半可な気持ちで、この計画に望んでいない。
 俺たちが君に協力しようと思ったのは、その姿勢を見たからだ」
「やめてってば。それが、いやなの」

アーロンはゆるく頭を振って、ゆっくりと眼鏡を外した。
眼鏡を外すとずいぶんと印象が変るな、と心のうちで呟く。

「優しくしてダメなら、もう遠慮することはないよね」

手首を強くつかまれ、痛みにサラは顔を歪めた。

「痛いよ……」
「これだから甘ちゃんは嫌いなんだ」
「なによ……あなたに私の気持ちが」
「知るかよ。いいかい、君は俺に協力するんだ。
 ヴァイオリンをどうするかなんて計画が終わってからでいいだろ」
「なっ、あなたから協力させてほしいって言ったんじゃない」
「俺のほうが勢力が整ってる。いやとは言わせない」

猫かぶりが、と悪態をついてサラは手を振りほどいた。
だが、なぜだろう。心が軽くなっている自分がいる。
救われたなんて思わない。
でも、とサラはアーロンを見た。

「……あのこと、秘密にしておいてよ」
「聞くに堪えない言葉だったからね、もう覚えてないよ。明日から練習だ、逃げるなよ」
「だ、誰が逃げるもんか」
「キャンキャンうるさい奴だな。弱虫なくせに、態度だけはでかいんだな」

やれやれ、と去っていく後姿を見送りながら、サラはため息をついた。
サラはこのとき、アーロンがわざと冷たい人間を演じていたとは知らなかった。





バレンタインは小説を書く手をとめ、はたと気付く。
いつの間にか、アーロンをエルバと重ねている自分がいた。
そして、サラとアーロンが触れ合うシーンに、今日の出来事を重ねていた。

『そんなこと、ありえない。エルバ君は私と先輩が付き合えばいいって思っているの』
『付き合うなって思ってる』

バレンタインはあの瞬間に握られた感触を思い出す。

『あいつとなんか付き合うな』

脳裏に蘇る、エルバの低い声。
頬が熱くなって、胸がドキドキと小さく音を立てる。

(あれって、どういう意味なんだろう……)

あぁ、と熱い吐息がもれる。
魔法で操ったノートが、パタパタと扇いでくれる。
それでも頬にこもった熱は引いてくれない。





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*Comment

No title 

そもそも恋というものは誰からか否定されるものではなくて、その胸のときめきをとめることはできないものなのですがね。だからこそ、不倫もあって離婚もあるわけであって。
ちなみに一目惚れで結婚した夫婦は他の理由で結婚した夫婦より離婚率が低いというのがデータで立証されていますしね。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2013.05/22 18:34分 
  • [Edit]

Re: LandM さんへ 

訪問、コメントありがとうございます。

お返事遅くなりすみません。
そうですね、恋の仕方ってたくさんあると思いますし、
きっかけがどうであれ胸はときめくものですよね。
ただ、嘘をつき続けるといつか本当になってしまうのも、恋ですからね。
現実逃避をしているうちに恋に変わることもありますし・・・恋はなんとも形のないものですね。

  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.05/25 21:48分 
  • [Edit]

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