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重なる記憶(2) 【ケイト&ネメア】

ケイトとネメアはモンスターに襲撃された村で、一人の少年と赤子に出会った。
少年の名はクノア。赤子の名はノノア。
ケイトはネメアに村人の弔いを手伝ってもらいながら、兄妹の行く末を案じた。
赤子の泣き声とともに母屋の扉が開いた。

「ケイト……」

クノアはすぐさま顔色を悪くして、ケイトが運ぶものとケイトの顔を交互に見やった。
ケイトは舌打ちをした。

「出てくるなって言ったでしょ」
「でもノノアが! きっとお腹が空いたんだ」

(アタシ、赤ちゃんの育て方なんて知らないよ……)

ノノアの泣き声に「はあ~」とケイトはうなだれた。

一輪車の荷台をゆっくりと地面に下ろすと、ケイトは母屋へと歩み寄った。
クノアに中へ戻れとあごをしゃくると、ケイトも一緒に中へ入った。

「元気が有り余ってるようだ、お前の妹は。将来有望だな。寒くないか」
「俺は平気。ノノアは寒いかも」

暖炉の火種が小さくなっていた。
てっきりついさっき起こしたばかりと思っていたが、それほど時間が経ったということか。
少ない薪をくべて部屋を暖める。

「そこの衣で包んでやれ。苦しくならないように気をつけてやれよ」
「うん」
「母乳が出る人がいないか探してくる。なにがあっても絶対扉を開けるなよ」

母屋から出ようとしたとき「ケイト!」とクノアのすがるような声がかかった。

「戻ってくるよね」
「戻ってこなかったときのことも考えておけ。人をそう簡単に信用するな」
「俺、まだ子供なんだぞ! こんないたいけな子供を置いてどっか行っちゃうのかよ!」

ケイトは懐からエステルの首飾りを取り出して、クノアに放り投げた。
クノアは両手でキャッチして、「きれぃ……」と感嘆をこぼした。

「取りに戻ってくる」
「俺がずっと隠し続けたら、どうするんだよ。ずっとここに居るのか」

上目遣いに見つめられる。
自分勝手でわがままに聞こえる願望も、不思議と鬱陶しく感じなかった。
すぐに合点して吹き出した。
首飾りの主の顔を思い出しながら首をゆるく振った。

「取りに戻ってきてから考えるよ」

*   *   *   *   *   *

「なにやってんだよ、ネメア」

ネメアが生存者を探しに行って、なかなか帰って来なかった理由がいま分かった。
クノアたちを保護している間に、村の女衆たちが子供を一つの家に集めて保護していたのだ。
家からは子供の泣きじゃくる声が響き、立てこもりの状態が続いているようだった。
ネメアなら簡単に蹴破れそうな薄い扉も、当の本人からしてみれば鉄の扉なのだろう。

「私は何もしていない。彼女たちが怯えて言うことを聞いてくれないんだ」

ケイトは、詫びる姿勢もばつ悪そうにする気配もないネメアに、肩を竦めるしかなかった。

「日が完全に暮れる前に弔ってやらなきゃ。この人たちはアタシに任せて」

ネメアは頷き、颯爽(さっそう)と歩き出した。
ケイトは扉を軽く叩き、中からの返答を待った。

「賊ならどっかに行きな! ここはあたしらの村だ、好き勝手にさせやしないよ!」

威勢の良い鋭い声がケイトをけん制した。

「母乳が出る人はいる?」

室内がどよめいた。

「赤子が泣いているんだ」
「まさか……クノアのところじゃ」
「そう。アタシたちが保護したんだけど、お腹が空いたみたいで泣き止まないんだ」

ゆっくりと扉が開け放たれ、ケイトは中を窺った。
年寄りと若い女たち。そろそろ成人しようかという少年、少女たちと幼子。
ざっと二十名が狭い家に押し詰めるように立てこもっていた。
表に出てきた、ふくよかな女はケイトを訝(いぶか)しげに見た。

「モンスターはもういない」
「これから来るかもしれないだろ」
「それならまた倒せばいいだけの話さ。ああ、モンスターを倒したのはあの男じゃないよ」

女は小首をかしげた。

「アタシだよ。一人でやっつけちゃった」

てへっ、と付け足してケイトは女を押し退けて家のなかにずかずかと入っていく。

「ちょっとあんた!」
「頼む、ノノアが泣いてるんだ。これ以上は待てない」
「私がっ、私がいきます」

一人の女が立ち上がった。


次回 重なる記憶(3) ≫
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