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レディ・バレンタインと個人指導

『サラ。あなた、あの予言者とか言うお婆さんの口車に乗ったんですってね』

サラは眉根を寄せて、ヴァイオリンを奏でる。
ルルの言ったことなんて気にせずともいいのに。

『あなたらしいわ。ふふっ、あなたの考えなんてすぐに分かったわよ』

サラは初めて、狂ったようにヴァイオリンを弾き続けた。

『体のいい理由を見つけて、現実から逃げたいだけなんでしょう?』

私は、イルカを助けたいだけ。
私は間違っていない。

うそを真実に変えるためには、この計画をなんとしても成功させなければならない。
そのためだったら、たとえ指に血が滲もうとも弾き続ける。




「そこまで」

個人指導の先生、フィオンが制止を促す。
バレンタインはヴァイオリンを弾く手を止めて、息をついた。

「今日の演奏は、少々荒っぽいが今までよりいい」
「え?」

いつも無表情な彼が、今日は珍しく口元に笑みを乗せている。
だが、それもすぐに引っ込んでしまう。
顔を引き締め、フィオンは楽譜に指を滑らせる。

「この部分、スラーを生かして。ゆったりと、なめらかに弾くんだ」
「は、はい」
「それからここは」

指摘を受けて、素直にうなずく。
ただ素直に聞いて言う通りに弾くのではなく、しっかりと心に留めて弾かねばならない。

「それじゃあ、もう一度」

バレンタインは鼻から息を吸い、ふっと吐きだした。
ゆっくりと弓を引き、弦を震わせる。
フィオンの温かい眼差しを感じながら、ヴァイオリンを奏でる。
ヴァイオリンを手にして、初めて優しい気持ちになった。

(先生が、こんなに嬉しそうにしてくれるなんて……)

個人指導は一時間と決まっている。
その一時間を自分はどれほど無駄にしてきたんだろう。

(先生、ごめんなさい……)

謝罪と感謝の気持ちを込めて曲を弾く。
終わりの時間が近づき、バレンタインは楽器をケースにしまう。

「とても良い音を出すようになった」

フィオンは唐突に言った。

「グループ課題、合格するといいな。私で良ければ、いつでも相談に乗る」

笑顔もなにもないけれど、とても温かい一言だった。
胸を締め付けられるような、不思議な感情が込み上げてくる。

「先生」
「どうした」
「私、先生に感謝しています。私をちゃんと見てくれたのは、先生だけでした」

つんと鼻の奥が痛くなる。こんなことで泣けるなんて。
どうにか涙を流さないよう堪えて、震える声で言う。

「これからも、よろしくお願いします」

礼をして退出する。
フィオンはバレンタインが出て行った扉を見つめた。

「私の言葉に耳を傾けてくれたのも、お前だけだったよ」







ありがとうございました&お疲れ様でした

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前へ ≪ブログトップへ戻る≫ 第29話 レディ・バレンタインと告白!?
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*Comment

こんにちは(^^) 

更新お疲れ様( ^^) _旦~~
やっぱり訪れる楽しみがありますね!

おお~最後のセリフがグッときて、フィオン先生がかっこよく見えました♪
素敵な時間をありがとうございます(^^b

本当に見やすいですし、読みやすいです!
絵も文章持って、才能が多彩すぎです(>▽<)♥
ほんとにいつもありがとう!
こちらこそ、よろしくお願いします(*^_^*)
  • posted by 椿 
  • URL 
  • 2012.12/08 16:04分 
  • [Edit]

Re: 椿さんへ 

訪問&コメントありがとうございます!!
感激です(∀`*ゞ)エヘヘ

出番の少なさで影が薄いですけれど(´・ω・`)
フィオン先生がいなかったら、バレンタインは変れなかったでしょうね。
一応、重要人物ではあるんです!先生の為だけに記事は増やせないけど(笑)

毎回楽しんでいただけるよう、精一杯頑張っていきたいと思います♪
ありがとうございました。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/08 16:34分 
  • [Edit]

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