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二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

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第十八回 嘘

ケイトは白いドレスを選び、じっと眺めた。
金糸で刺繍された上品なドレス。
自分には似合わないだろうか。

「ケイトお嬢さま、はやくお決めにならないと舞踏会が」

ばたつく部屋。
王宮の舞踏会に参加するケイトのために、部屋は化粧品とアクセサリーなどの小物で溢れている。
ケイト付きのメイドが急かす。
この会話も、もう何度目だろうか。

「これだと、変かな」
「よろしいかと思います」
「うわ~すげーおざなり」

気心がの知れた仲だけあって、容赦ない言葉が飛んでくる。

「さっさと決めてください。ケイトお嬢さまは着るのに時間がかかるうえに、髪のセットだって」
「うぅ、わかったよ。じゃあこれでお願い」
「かしこまりました」

              『嘘』

日が傾き始めた頃――準備が整い、王宮へと向かう馬車に乗り込む。
隣にセバスチャンが座り、馬車が動き出す。
レムオンは一足先に王宮へ出向いたそうだ。

「予想通り待っていてくれなかったのね」

ケイトはそう言いながら、シルクの手袋をはめた手で髪を耳にかけた。
セバスチャンは苦笑を浮かべてうなずく。

「やらなければならない事があるのですよ」

ただ、できればドレス姿を一番最初に見てほしかった。
他の貴族たちの目に留まるよりも、先に。

「どうせ、ティアナ目当てよ」

言って、「案外そうかもしれない」と妙に納得してしまう自分がいた。
それが余計に腹立たしくて、ピンクルージュを乗せた唇を無意識に噛んだ。

セバスチャンの困ったような視線に、ケイトは目をそらした。

*   *   *   *   *   *   *   *   *

王宮仕えの者たちに案内されて会場へと行く。
豪華絢爛な広場へと通され、ケイトはたじろいだ。

(いつ来ても、なれない……)

眩しすぎて、気が滅入りそう。

「これはこれは、ノーブル伯!」

ケイトに気付いた貴族たちが、わっと集まってくる。
集団から抜けてはレムオンを探し、また別の場所で囲まれる。

(なんなのよ、今日は)

外の空気でも吸って落ち着こう。
思ってバルコニーへ続く扉を開けたときだった。

ティアナとレムオンが二人きりで談笑していた。

――ちくりと心が痛む。

レムオンのことを思えば、この空間に土足で入ってはいけない。
迷惑な存在にはなりたくなかった。
でも、こんな景色見続けることなんてできない。

(だけど、引き下がることも……)

固まったまま動けずにいるケイト。
ふと視線をそらしたティアナに、見つかってしまう。
偶然、視界に入ったのだろう。

「ケイト様!」

ティアナが嬉しそうに笑い、横からレムオンが顔を覗かせる。

罪悪感に駆られたケイトは踵を返し、その場から立ち去った。

とにかく会場から出たかった。
誰の目にも触れない場所に行かなければ。



足が向くままに訪れた空中庭園は、夕暮れの赤に染まっていた。
光が沁みて目を細めると、こぼさずにいた涙が落ちた。

「バカみたい」

泣くほど傷つくなんて思ってもみなかった。
自嘲して、空中庭園のなかに入る。
大理石のイスに座って景色を眺めていると、背後から近づく足音があった。
レムオンが隣に座る。
存在を視界の隅にとどめたまま、ケイトは景色を見続けた。

(綺麗だなとか、今日は別人だなとかないわけ。このバカレムオン)

そっと立ち上がり、逃げ出そうとしたケイトの腕をレムオンがとる。

「なにを怒っているんだ」
「怒ってなんか!」

ケイトは振り返り、レムオンを見て、目をそらした。

「怒ってなんか、ないもの……」

伸びてくる大きな手。
頬を包まれ、ケイトはレムオンの手を払った。

「誰にでもそんなことをするの」

涙なんて流したくなかったのに。
止まらなくなって、喋るのも苦しくなってくる。

「ティアナにも、したんでしょう?」
「してない」
「楽しそうに話してたじゃない。いい雰囲気だったもの」
「ケイト」

手首を掴まれ、ケイトは嫌々と身をよじる。

「触らないでよ。他の女に触った手で、触らないでよぉ!」

逞しい胸板を押しやって、抱きしめようとしてくるレムオンを拒んだ。

「いやだってば! アンタのことなんか、大嫌い」

無理やり抱きしめられ、ケイトはレムオンの肩を押したり、叩いたりした。

「放して! 放してよ、バカレムオン!
 さっさとティアナのところへ行きなさいよ!!」
「ドレス、お前が選んだのか」
「ちょっと、人の話を――」
「綺麗だ」

耳朶に囁かれ、ケイトは目をみはった。
レムオンの肩を叩いていた手を止め、ぎゅっと肩をにぎった。

「思ってないくせに」
「最初は誰だかわからなかった」
「うるさい、そんなこと、すこしも思ってないくせに」
「嘘偽りはなく、お前を美しいと思う」

さっきまでの涙とは違う。
嬉しさに涙が込み上げてくる。
もっと言ってほしいのに、素直にそうは言えない。
レムオンがわずかに肩を離して、ケイトの顔をのぞく。
次の展開が読めたケイトは、慌てて顔をそらした。

「アンタ、なに考えて――」
「あんなに嫌いと言われて、引き下がれる男はいない」
「意味わかんないわよ。普通、嫌いって言われたらいやな気分に――んっ」

レムオンの唇がこめかみに触れる。
ケイトはびくりと震えて、レムオンを見上げた。

「俺には、愛してると告白されたように聞こえたが、違うのか」
「バカじゃないの! 誰が、アンタなんか……妹に手ぇ出してんじゃないわよ」

頭に手を添えられる。
そのまま、ぐっと引き寄せられて、ケイトはかたく目を閉じた。

「妹に手ぇ出して、誰かに見られたら……どうすんのよ、バカ」
「誰も見ていない」

唇をふさがれる。
触れるだけのキス。
こんなにも熱くて。
離れがたいなんて。

唇に触れたまま、レムオンが言う。

「これで、共犯だ」
「バカレムオン」
「一緒に堕ちるぞ」

二度目のキスは、深い。





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*Comment

素敵ですね♪ 

おはようございます♪
うわああ!レムオンのツンデレがデレに~!w
ケイトと一緒にドキドキしちゃいました(/ω\)

実際、「激愛」になってるとED前にそういった絡みがあっても良いと思いますw
久しぶりにジルオールプレイしたくなりました~!
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/07 06:17分 
  • [Edit]

Re:kaorin114 

コメントありがとうございます!

完全に私の妄想です(笑)
もう少しで「20のお題」も終わってしまうので、ちょっと暴走しようかなとヽ(´∀`)ノ
ただただ、王道を書きたかったんですw

レムオンの「激愛」後は、普通にこういうやり取りありそうですけどね♪
この後の「20のお題」もおふざけ盛り沢山なので、気が向いたときにでも読んでやってください><
いつも温かいコメントありがとうございます!
またお待ちしております^^
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/07 14:19分 
  • [Edit]

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