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第十六回 髪

レムオンは自分の部屋だというのに、入れずにいた。
ドアノブに手をかけたまま捻ることができない。
室内からもれてくる声。

「姉ちゃ、それ以上はダメだ」
「情けない声出さないで」
「けどっ――姉ちゃん、ね、姉ちゃん」

レムオンはノブから離れた手を口元にもっていった。
姉弟だというのに、そんな関係なのか。
それも人の家で、そんなことに及んでいるのか。

「もう無理! 姉ちゃん、それ以上はやばいって」
「いいから」

ダメだ。
これ以上ことが進む前に止めなければ!
レムオンは扉を開け放った。


                『 髪 』

「プアハハハハ! って、ヤベェ!」
「あ? なによチャカ」

レムオンの視界に、固まったまま動かないケイトとチャカ。
そっくりな顔を強張らせて、レムオンを凝視する。

「なにをしていた」

仕事机からぱっと手を離して、二人ははらはらと手を振る。

「な、なにも! な、姉ちゃん」
「うん。なぁんもしてないよ」

焦るチャカとは違い、ケイトはにやにやと笑っている。
日頃からレムオンに叱られ慣れているためだろうか。
余裕の笑みだった。
むしろ、わざと怒らせて楽しんでいるんだろう。

「なにをしていたと聞いている」
「自分で確かめなって」

にやにやと笑ってケイトが道を開ける。
レムオンが背を見せた隙に、チャカは部屋から出て行った。

「逃げ足の速い弟だな、まったく」

返答はなかった。
ケイトはレムオンが怒るのを今か今かと待っている。
レムオンは机の上に置かれた手紙を開けた。
あとは印を押すだけだったようだ。
紙のこすれる音が響く。



愛しいティアナへ。
俺はずっと貴女だけを見つめてきた。
ずっと、貴女だけを見つめ、慕ってきた。
貴女の、太陽のような笑顔。
貴女の、陽光のような美しい髪。
いつも触れたかった。
この指に貴女の髪を絡めて、愛を囁きたい。
すべてが欲しい。
ゼネテスではなく、俺を見てくれ。
俺だけを見つめ続けてくれ。
必ず貴女を幸せにする。たとえどれほど国が揺れようと、貴女だけは幸せに……。




「なんっだこれは!!」

ビリッと手紙が真っ二つに裂かれる。
ケイトは高笑いをし、どっかりとソファに座った。

「残念、あとはティアナに届けるだけだったのに」
「ふざけるな」

人の恋心を弄ぶなんてな。
反吐がでるほど最悪な気分になった。
レムオンはケイトの胸倉を掴み、無理やり立たせる。

「怒った怒った」
「本気で怒っているのが分からないお前ではあるまい」
「本気なの?」

きょとんと、しかし目元に嘲笑をたたえたままケイトは言う。

「怒ったところでどうなるのよ。なにもしないアンタが悪いんじゃない」

言い逃れができない指摘に、レムオンは美しい顔をゆがめた。
ぱっと手を離すと、ケイトは着崩れを直した。
肩に触れるか触れないか程度の髪を払った。
気まずい空気をごまかすようにレムオンは咳払いをした。

「髪、伸びたんだな」
「伸ばしているのよ」
「なんのために」

ケイトはキッと鋭い目を向けた。

「それくらい、分かりなさいよ」
「分からないから訊いているんだ」
「じゃあ、アンタが馬鹿なだけなんだわ」

レムオンはふと気付く。
ケイトの言葉遣いに違和感を感じた。
「~だろ」とか「分かれよ」とか使っていたのに。

「お前、本当にケイトか」
「なによ急に」
「やけに女らしい言動をするんだな」
「あ、アンタがそうしろって言ったんじゃない!」

そっぽ向いたときに揺れる黒髪。
ガサツな性格なせいで、まともに髪の手入れなどしなかったくせに。
いつの間にか髪は艶めいて、黒光りしていた。

「アンタが、言ったんじゃない。すこしはティアナを見習えって、言ったんじゃない」

恥ずかしそうにつぐむ唇。
スカートを握る小さな手。
レムオンは目をそらし、とにかく部屋の扉を閉めようと歩き出す。
別に、ケイトから距離を取りたかったわけじゃない。
言い聞かせて深呼吸一つ。

「レムオン」
「なんだ」

もとの空気に、もとの関係に戻そうと躍起になる心。
大丈夫だ。
俺は冷静になれる。
言い聞かせてふり返ると、ケイトは指をかんで目をそらす。

「なんだ。言いたいことがあるならはっきり言え」

そう、いつもこんな会話をしているんだ。

「その……」
「さっさと言え」
「ほ、」
「ほ?」
「褒めなさいよ。言うとおりにしたんだから……すこしくらい」

心臓が跳ねた。
理性が吹っ飛びそうになり、鼻から大量の空気を吸い、一気に出す。

(落ち着け、自分。どうしたというんだ、この程度の小娘で)

ここで褒めなければ自分の器の小ささを認めることになる。
レムオンは息を呑んで、ゆっくりとケイトに近づく。

(頭を撫でてやればいい。それだけだ、それだけ)

そっと手を伸ばし、頭を撫でる。
するりと指先に通る黒くて細い髪。
心まで絡め取られそうになり、慌てて手を引っ込めた。

「ダメ」

真っ赤になった顔を向けられる。

「褒めただろう」
「ダメよ。アタシがアンタの言うこと聞くの珍しいんだから」
「そうだな」
「そうだなじゃなくて。そうじゃ、なくて」
「これ以上か?」

潤う瞳を向けられて、もう逸らせなくなる。
再び髪に手を伸ばしすいてやる。
親指で頬を撫でると、目を細めて横に視線を流した。

抱き寄せて、黒髪を指に絡ませる。
驚いたように身を固めるケイト。
ほんのりと色づいた耳に囁く。

「ティアナには程遠いが、とりあえず合格だ」






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おはようございます! 

おはようございます!

明けましておめでとうございます♪
今年もどうぞよろしくお願いしますヽ( `・ω・´)

新年早々にドキドキしました!w
レムオンにじゃなくて、ケイトの可愛い姿にですよ~(=´ω`=)
手紙の内容、レムオンの心情をズバリ表現されていて
何度も読み返しちゃいました♪
これからも応援しています!
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2013.01/01 09:02分 
  • [Edit]

Re: kaorin114 さんへ 

> 明けましておめでとうございます♪
> 今年もどうぞよろしくお願いしますヽ( `・ω・´)
返信が遅れてしまい、申し訳ないです・・・。
あけましておめでとうございます!
こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いします><

> 新年早々にドキドキしました!w
> レムオンにじゃなくて、ケイトの可愛い姿にですよ~(=´ω`=)
> 手紙の内容、レムオンの心情をズバリ表現されていて
> 何度も読み返しちゃいました♪
ありがとうございます♪
ティアナの部屋へ訪問するイベントが大好きで。
あのイベントの続きを書いてみました!
手紙に関しては、ケイトがレムオンの言いそうなことをアレコレ考えて書いた、という設定ですw
嫌がらせに全力を尽くす、ケイトww

> これからも応援しています!
いつもありがとうございます!
どうぞ、よろしくお願いします><
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.01/02 20:03分 
  • [Edit]

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