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重なる記憶(1) 【ケイト&ネメア】

頭上で風を切り裂く音がした。
半歩下がりつつケイトは落胆し、自分は死ぬことがないだろうと判断した。
予想通り、鎌は力なく振り下ろされ、風圧が鼻にかかる程度だった。

(この匂い……)

誰もが畏怖する威圧感が背後からやってくる。
ネメアが横を通り過ぎ、モンスターの頭を貫いた槍を引き抜いた。

「少しは抵抗したらどうだ」

素っ気無いが、強い口調にケイトは驚いてネメアを見上げた。
怒っているのかもしれない。でも、なぜ。

ケイトはネメアを一瞥(いちべつ)し、息絶えたモンスターの足元に膝をついた。
モンスターの体には焦げた匂いが、鎌にはソウルを吸った跡が認められた。

「こいつ、町を襲ったな」
「見ろ。東だ」

ネメアが見つめる先、森林の奥からどす黒い煙が上がっていた。

「そんな! さっき歩いてきたときには、なにもなかったのに」
「モンスターが巣食っているだろうな。ここ一帯を棲み処(すみか)にするつもりだったのだろう。この街道もダメになったか。じきにモンスターがここにやってくるぞ」
「生き残りがいないか見てくる」
「私も行こう」

ケイトは冷ややかにネメアを見つめ、やがて踵(きびす)を返した。

「いらない」
「なにをむきになっている」
「むきになんて、なってない!」
「ケイト!」

剣を引き抜き、切っ先をネメアへと向ける。
迷いはなかった。ただ、言うべき言葉が見つからない。
ネメアの顔をまともに見ることもできず視線をさまよわせ、ようやくしぼり出したのはちいさな叫びだった。

「このままじゃ、アンタと一緒にはいられない」

ケイトの声は吹きすさぶ風に消えた。
ネメアは追って来るようなことはしなかった。
ケイトはひたすら林を駆け抜け、煙の上がる方へと向かった。被害のあった場所に近づくほど、焼け焦げた匂いがした。モンスターの咆哮(ほうこう)が辺りに響き渡り空気が震えていた。
どうせ生きている人間なんていないだろう。
奴らは聡い。人間の気配に気付いた瞬間それを追っていく。

(弔い合戦といこうか……)

すさんだ心でケイトは口元に笑みを浮かべた。

  *  *  *  *  *  *

ケイトは肩で息をするほど激しい呼吸を繰り返していた。
思った以上にモンスターの量が多く、疲労が大きい。しかし、竜殺しと称されるケイトにとって造作もない戦いであった。むしろ一振りで倒していけるほどの力を改めて実感し、自分を忌み嫌った。

町よりはちいさな規模である――――村を見渡し、男たちが応戦していたことを感じ取った。
扉を背にして倒れている女がいた。
駆け寄ってみたものの、息はとうになかった。
女を動かし扉を引く。

「こっちに来るな!」

ケイトはとっさに顔を腕でかばった。腕には鈍い痛みが走り、眉根を寄せる。
足元に落ちた木べらを見下ろし、ケイトは息をついた。
眠る赤子を抱きながら、ケイトを威嚇する少年がそこにはいた。

「この村の敵はすべて倒した」
「お前一人でか!?」

威勢の良さに笑った。まるで自分を見ているようだ。
だがこの勢いは自暴自棄からくるものだ。勇気ではなく、諦めと絶望からくるのだ。

「うん」
「お前も化け物だろ! 女がたった一人で倒せるわけがない!」
「化け……ふふっ、確かにアタシは化け物だ。なかなか聡いな。坊やちゃん」

拍子抜けしたのか少年は面食らっていた。
それがまた面白くて笑ってしまう。
少年が抱く赤子が目を覚まさぬよう小声で続けた。

「でも、勘違いすなよ。アタシは救世主じゃない。救世主は求められてこそ現れるんだ。アタシは誰からも求められていない。近くの街道を通ってたまたま異変に気付いただけさ。あいつらで憂さ晴らしをした非道な人間だ」
「俺を怖がらせようったって無駄だからな!」
「そうくるか」

ククッと忍び笑いをもらし、一歩前に進む。
すると少年はケイトの足元から見える遺体の存在に気付いた。

「母さんっ!」

扉から出ようとする少年を旅衣で包み、視界をおおった。

「見ないほうがいい」

少年の頭を抱き、動きを封じる。

「見ないほうがいいこともある。分かっていただろう、母親が外に出た時点で」

一瞬、少年の体が強張り、ゆっくりと力が抜けていった。
旅衣のなかから嗚咽が聞こえてくる。

「なんでもっと早く来てくれなかったんだよ……そしたら、父さんも母さんも死ぬことなんてなかったんだ!」
「そうだな」

まったく理不尽な怒りだと思った。
言われたことに関しては腹立たしくは感じなかった。
腹立たしいのは、少年の怒りが至極まったくその通りだと思えて仕方がなかったことだ。
こんな馬鹿みたいに大きな力は、人を救う以外役に立ちはしないというのに。

「なんで俺たちの村だけ……こんなっ」
「そうだな」
「父さんっ、母さんっ……」
「うん」
「怖かったよ、怖かった……怖い……」
「うん」

まるっきり昔の自分と重なり、ケイトは目を背けるようにうつむいた。

「……ケイト」

その声にケイトは肩を震わせ、わずかに振り返った。
峻厳なネメアの顔を見るなり目頭が急に熱をもち始めた。
大きな手がケイトの頬を撫でて頭を引き寄せた。

「なにを、泣いている?」

ケイトは唇を噛みしめ、ネメアの胸に顔を埋めた。

「弔ってやりたいんだ」
「ああ」
「手伝ってほしい」

やや間があった後「ああ」とネメアは短く答えた。



次回 重なる記憶(2) ≫


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*Comment

おはようございます! 

おはようございます!

少年と過去の自分が重なったんですね。
怪物扱いされて、きっと複雑だったと思う・・(´・ω・`)

最後のネメアの登場で感動しましたw


  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2013.01/11 06:00分 
  • [Edit]

Re: kaorin114さんへ 

こんばんは!
訪問&コメントありがとうございます♪

ネメア編のこの回では、ケイトとネメアの二人が
「自分自身と向き合う」といことをコンセプトにしています。
ケイトは少年を昔の自分と重ね、自分の心を癒すかのように少年の面倒をみていきます。
最後にケイト自身の心の傷が癒えたかどうかは、想像に任せる形で(笑)

読んでいただきありがとうございました><
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.01/13 00:04分 
  • [Edit]

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