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ゾフォルの小父貴

薄暗い隠れ家のなか、ゾフォルは書物を読みふけっていた。
戸口に備えたカーテンがふわりと揺れた。
ゾフォルは黙読をやめて、カーテンを開けようと立ち上がった。
曲者だろうがなんだろうが、容赦なく打ちのめしてくれよう。

「うむ?」

懐かしいソウルの気配に、思いは打ち消された。

「ケイトか」
「ゾフォルの小父貴ぃ」

カーテンが人の形を浮かび上がらせる。
布を割って現れた女がゾフォルの腕のなかに倒れてくる。

「酒くさいぞ。子供が酒を飲むとはけしからん」
「らって、無理やり飲まされたんらぁ。う、キモチワルイ」

涙を浮かべてゾフォルの腕にまとわりつく。
酒を食らうと泣き上戸になるようだ。
黒髪を掻き撫でて、ゾフォルはケイトを寝床へ導いた。

「まったく世話のやける。寝ておれ。水は飲むか」
「うん」

ばたんと倒れたケイトは、それから微動だしない。
水瓶の蓋をあけ、木の器で飲み水をすくいあげる。
飲み水を差し出すと、飢えていたようにケイトは水をあおった。

「なぜ宿に戻らない」
「階段のぼれないのぉ。気持ち悪くてのぼれないのぉ」
「おぬしの方が気持ち悪いぞ。いつもの咬みつきようはどこへいった」

眉間に深いしわをつくって、ケイトは寝返りをうつ。
なにを言っても無駄だとわかったゾフォルは、読みかけていた書へと手を伸ばす。
そして、ケイトの隣に腰を下ろして読み始める。

「小父貴」
「なんだ。黙って寝ていろ」
「小父貴は、悪い未来が見えるんだよね」

しばし黙った後、「あぁ」と返す。

「やっぱり、なんでもない」

丸くなって眠りだすケイト。
帰る気はないのか。
嘆息して、そっと毛布をかけてやる。

「おぬしは天寿をまっとうするだろう」

そう言ってやると、ぴくりと反応した。
図星か。
ふっと笑ってケイトの頭を撫でてやる。
自分がまっとうな道を歩いていれば、この年頃の孫がいたかもしれない。


ケイトとは、不思議な存在だ。


一ヶ月に一度、この隠れ家を訪ねてくる。
冒険の話を楽しそうに話したり、時には世への憤りを口にする。
まるで、この老いぼれに心を許しているかのように、眩しい笑みを向けてくる。

『元気にしてたか、ゾフォルの小父貴!』

快活な一声。
生気に満ちた笑顔。
自分の心の底に眠る、世を憎み滅ぼそうとする野心が和らぐ。
己の子のように、孫のように慈しむ心が生まれる。
だが、この心を持つには遅すぎた。
もう変ることなどない、老骨に染み付いた絶望は色あせることない。

「小父貴」

ケイトは寝返りをうち、ゾフォルの袖をぎゅっと握った。
涙をポロポロとこぼしはじめる。

「もういやだ。小父貴、いやだよ。アタシはもう、誰も失いたくない」

その対象に、己も入っているだろうか。
年甲斐もなくバカバカしいことを思う。
落ち着かせるように背を撫でてやると、ケイトはぎゅっと目をつむった。

「なんでアタシがこんな目に遭うの。もう、やだよ」

過去の自分と重なる。
強い力を持つものは、みな孤独だ。
孤独と隣り合わせの生を歩んでいかねばならない。

「うぅ……うああああああ!!」

ゾフォルの袖を強く握ったまま、ケイトは声を上げて泣いた。

なんと世知辛いことか。
せめて、自分がこの隠れ家を出るまでは。
苦しみを分かち合うことも、できるかもしれない。

「気が済むまで泣くといい」

自分の分まで泣いてくれているようだ。
泣けなかった自分の分まで、泣いてほしい。
心に残った鬱憤を洗い流してくれ。

「泣くといい。今だけは、泣くといい」

背をさすってやりながら、ゾフォルは目を伏せた。

泣かせてやろう。
今にも儚く散りそうなこの小さな子を守ってやろう。

敵として顔を合わせる、その日まで――――。







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