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レディ・バレンタインと真実

エルバの真摯な眼差しをうけて、バレンタインは逃げるように目をそらした。
誰かに打ち明けてしまいたい衝動にかられる。
けれど、それが裏目に出ることを思うと喉につっかえてしまう。

「今日は、引き下がらないからな」

たぶん、図書館で話した日のことを言っているのだろう。
エルバはじっと待つ。
耐えかねたバレンタインは、ヴァイオリンを取り出した。

「私の演奏、聴いて」

実技の授業で褒められた曲を演奏する。
噴水でたわむれていた子供たちの声が止み、噴水広場には水が弾ける音とヴァイオリンの音で満ちた。
弾けば弾くほど、胸がしめつけられる。
頬に伝う涙に気付きながらも、バレンタインは弾く手を休めなかった。

最後まで弾き終えて、バレンタインはうつむいた。
ぱちぱちと拍手が沸き起こり、温かい空気が生まれているのに。
心は孤独だった。

「実技の授業のときに、みんなの前で弾いて先生に褒められたんだ」
「うん」
「でも、私……褒められるようなものを持っていないの」
「それが笑えない原因?」

大きくうなずく。

「私、作曲者の想いをちゃんと受け取れているんだろうかって、不安になるの。
 先生や先輩が、曲を自分のものにすることが大事って言うけれど。
 知ったかで曲なんて弾きたくなかった。だから、私は演奏に心を込めたくなかった。
 楽譜通りに、楽譜が記した限りのことを表現すれば、それで良いって思ってる。
 
 なのに、みんな……。
 
 私はずっと褒められるようなことは何ひとつしてきてないの。
 私は尊敬されるような人間でも、注目される人間でもない!」


人が心を込めて書いた曲。
その曲を、想いを復元する使命がある自分が、もし作曲者と違うイメージで奏でてしまったら。
それが怖い。
奏者と、聴衆者の立場は違う。
聴衆者は自由に、感じたままにイメージを受け取ってもいい。だが、自分は奏者だ。
私情は入れたくない。

だって、自分が書いた物語を他人が勝手に書き換えたら、すごく嫌だから。

「私、すごく甘いことを言っているってわかってる。
 私は音楽とちゃんと向き合ってこなかったから、正しい考え方じゃないってわかってる」
「わかるよ」

エルバは立ち上がり、バレンタインの頬に指を滑らせた。

「俺も、どうやって曲と向き合うべきなのかわからない。
 プロってなんだろうって思うこともあるよ。だから、お前の気持ち、わかる」
「ほんとう?」
「うん。やり方はどうであれ、お前は音楽をすごく大事にしていると思う」
「うそ、やめて。そんなことない」

頭を振るたびに、バレンタインの涙の粒が飛んだ。
頬に張り付いた金糸のような髪。
見かねたエルバが微苦笑しながら、バレンタインの髪をかきあげた。

「作曲者もさ、悩んだと思うんだ。
 俺みたいなのが言っちゃいけないんだろうけどさ。
 音楽って本当に奥が深いんだと思う。
 悩んで悩んで、一曲、一曲に答えを出していったんだと思うんだ。
 きっとあの世で喜んでるよ、作曲者。
 自分の曲をちゃんと理解してくれようとしてるんだ。俺だったら嬉しい」
「うそだ」

駄々をこねるように「うそだ」といい続けた。
こんな自分は許されるはずがなかった。

「お前の本音聞けてよかった。
 正直、課題曲をあれにしたいって言ったとき耳を疑ったけどな。
 お前の気持ちが今分かった。
 俺たちの課題は、テクニックじゃないんだよな」

エルバは伸びをした。

「二人を説得してみるか~」
「そんなこと」
「ダメとは言わせねー。あ~そうそう、曲解釈はお前に任せるから」
「えぇ!?」
「言いだしっぺだろ。責任とれ」

泣きっ面のまま驚き、エルバに「変な顔」と笑われた。






ありがとうございました&お疲れ様でした

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前へ ≪ブログトップへ戻る≫ 第28話 レディ・バレンタインと個人指導
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*Comment

純粋におもしろいです^^ 

恋愛+ファンタジックが好物なので、これはちょっとツボですね~!
エルバくんとバレンタインの揺れ動く距離感がもどかしくて楽しい♪
演奏と小説と恋愛と……伏線の張り方もお見事じゃないでしょうか。私は伏線の張り方をおもっきしダメ出しされたことがあるので感心しきりです。学ばせてもらいますm(__)m

続き楽しみにしてますね!!
あ、リンク張らせてもらいます。今さら感(笑)
  • posted by るる 
  • URL 
  • 2012.12/07 10:50分 
  • [Edit]

Re: るるさんへ 

うは、温かいコメントに涙が出そうです!!
これからもそのお言葉をいただけるよう、精一杯がんばります!

私も「伏線の張り方」を勉強中なんです。
色んなサイト回ったりして学んではいるんですが。
実際に書こうと思うと、難しいものですね(汗)

いつでもお気軽にお越しください♪
リンクありがとうございます!私もリンクを張らせていただきます^^
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/07 14:36分 
  • [Edit]

こんにちは(^^) 

いつも訪問と温かいコメントをありがとうございます❤

バレンタインの物語、やっと更新に追いつけました♪
恋のドキドキと、バレンタインの成長と、どうなっていくのか?
この先がとても楽しみです!

バレンタインは繊細で優しい子ですね。
心の揺れ動きに、大丈夫だよと言ってあげたくなります。
友人たちも個性があって生きてるし、本当に音楽を聞いてるみたいな心地よさがあります。
個人的に、エルバ君が好きです(//▽//)

リンクもありがとうございます!
私も張らせてくださいね(^^ノシ
続きも楽しみにしています~どうか自分ペースで!


  • posted by 椿 
  • URL 
  • 2012.12/07 17:50分 
  • [Edit]

Re: 椿さんへ 

こちらこそ、いつもありがとうございます!

本当は短編の予定だった『Andante』ですが、
見切り発車だったために長くなりつつあります。
長々とお付き合い頂き、心からお礼申し上げます!!
そしてこれからも、お付き合い頂けるとありがたいです^^

エルバにはこれからも活躍してもらう予定です♪
彼が魅力的に見えるようがんばりたいと思います><

リンクの件、ありがとうございます☆
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/07 19:40分 
  • [Edit]

No title 

才能と思考が伴っていないのが彼女の若さなんでしょうけどね。それを超えていくのが人でありますけど、このままいくと彼女は別の道に行くのだろうか・・・あるいは、音楽の道を行くのだろうか。そこはとても興味深いですね。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2013.04/09 19:42分 
  • [Edit]

Re: LandM さんへ 

こんばんは^^
訪問ありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ないです。
まだまだどっちつかずな感じですね。
ある瞬間に「こうしよう」と決めたことでも、たくさんの経験を重ね、時間が経つと、また迷ってしまう。
大人でも、まっすぐに突き進むのは難しい感じがしますね。
コメントありがとうございました^^
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.04/11 21:28分 
  • [Edit]

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