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すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

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第十五回 形勢有利

「はあ!?」

ケイトは素っ頓狂な声をあげた。
ティアナはせがむように、ケイトの右手を包んでいる。

「お願いです。ディンガルの動きが活発化した今、万が一に備えて
 自分の身は自分で守れるようにしておきたいのです。どうか私に剣術を教えてください」

ティアナの真剣な思いは伝わる。
だがしかし、彼女は王女だ。
ケイトは嫌々と頭を振り、隣にいるレムオンに助けを求める。
いつも放任主義のレムオンだが、今回ばかりはケイトの助け舟を出した。

「仮にケイトが剣術を教えたとしましょう。
 それで問題が起これば首を刎ねられるのはケイトだ。
 あなたがいくらケイトを庇おうとも、エリスはケイトの首を刎ねるだろう」
「ロストールの雌狐と呼ばれている、非道な母だから。そう言いたいのですね」

違う――ケイトは強い調子で言った。

「私情で法は変えられない。国を統べる者が法を無視してはいけないんだ」

ケイトの言葉にティアナはさっと顔を赤くした。
ティアナは顔をそらに、ドレスをぎゅっと握った。

「でも、私……自分の身くらい守りたい」

ケイトとレムオンは顔を見合わせる。
ここまで駄々をこねるとは思わなかった。
それほどまでに、ティアナはロストールの現状を不安に思っているのだろう。

「今日はこれで失礼いたします」

レムオンが礼をし、ケイトも続いた。
ティアナは軽くうなずき、一言も発せぬまま背をむけた。
二人は廊下に出ると、ひそひそと話を始めた。

「なんとかしてあげたいけどね」
「やめておけ。今お前になにかあったら困る」
「なにそれ。ちょっと恥ずかしいんだけど」
「そういう意味じゃない」

レムオンはケイトをちらりと見下ろして、呆れたような声を出した。

「お前はリューガ家の一員だということをまだ自覚していないのか」
「だって違うもの。忘れちゃうよ、レムオンに大事にされていないから」

「冷血の貴公子」と称される彼の頬に熱が広がる。
なにか言いたげに口をまごつかせ、しかしレムオンは諦めたように微苦笑した。

「今、お前に問題を起こされると困る」
「わかってる」

廊下の窓を見たケイトは、ふと立ち止まった。
レムオンは片眉を吊り上げて、一緒になって窓の下を見た。

「お気楽な貴族共だな」

帽子をかぶった貴族の男たちが何人か集まり、楽しげに会話をしていた。
レムオンは皮肉った台詞をはくが、ケイトはじっとその様子を見つめる。
ふっと口元に笑みが浮かび、レムオンに向き直る。

「アタシと勝負しよう。アタシが勝ったら、ティアナ王女に一つだけダガーの技を教えようと思う。
 レムオンが勝てば、アタシは黙ってレムオンの言うとおりにするよ」

レムオンは笑った。

「俺に勝てるとでも思っているのか」
「竜殺しをなめんなよ?」
「いいだろう」
「あ~ただし、レムオンの武器は剣一つね。それじゃ、あの貴族共がいる場所にいきましょう」
「なぜだ」
「武器を借りるためよ」

ケイトはウィンクひとつして、足早に階下へ向かった。


*   *   *   *   *   *   *   *

「なんだその格好は」
「素敵でしょう?」
「それで俺に勝つ気なのか」
「当然」

ケイトは貴族の一人から帽子とケープを奪い取り身につけていた。
風が吹きつけ、ケイトのケープがひるがえる。
レムオンが構え緊迫した空気が広がる。

風が止み、静かになった瞬間、レムオンは走り出す。

「は、速っ」

ケイトはその俊敏さに目をみはったが、軽やかにかわす。

そして再度レムオンの追撃が来た。

「貴族のくせに、なんでそんなにすばしっこいんだよ」

攻撃を繰り出そうにも、レムオンはいっこうに隙を見せない。

しかし、ケイトは身軽なぶん、充分に間合いを取ることができる。
慌てることなく帽子を手に取り、レムオンの顔面に帽子を投げつける。
視界を一瞬さえぎられたことで集中が途切れたレムオン。
ケイトはダガーを抜く――ふりをした。
下手投げで、ケイトはレムオンの肩になにかをぶつけた。

コツリ。

地面で鳴った音に首をかしげるレムオン。

「小石か」
「ダガーの代わりね」
「はあ?」
「ほれほれ、まだ勝負はついてないよ」

ケイトはケープを手に持ち、レムオンの攻撃を待つ。
ケイトの心臓を狙って切先が真っ直ぐに向かってくる。

「女の子なら両手で精一杯だからね」

ケープを両手で持ち、レムオンの剣めがけて投げつける。
ずん、と沈んだ剣。
ケープの重さに驚いたレムオンの隙をついて、ケイトは右足で踏み込み。

「好き」

レムオンの動きがピタリと止まる。

ケイトはダガーの先をレムオンの喉元に突きつけた。

貴族たちから拍手が上がり、ケイトはふっと笑った。
レムオンの悔しそうな顔が面白い。

「帽子とケープ、それにダガー装備。けっこういけるじゃない」
「まさかお前」
「これを教えようと思うんだけど」
「お前だからできるんだろうが」
「練習あるのみ!」

ケイトは胸をそらして笑った。
それから、とケイトはレムオンを上目遣いに見た。

「さっきの、冗談じゃないから」

ケイトはケープと帽子を返して、そそくさと帰っていった。
レムオンは口元を押さえて、目を伏せた。

「ずるい女だ……」





後日、ケイトはティアナに同じことを仕込んだ。
あの日の台詞もそっくりそのまま付けて、だ。
当然レムオンに叱られたケイトだったが、どこか楽しそうだったという。




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*Comment

こんばんわ♪ 

こんばんわ♪

ケイトとレムオンのやり取りがアツい(`・ω・´)
レムオンを弄りたかった+ダガーで戦えるか実践してみたんですね!
でもあの動きはケイトじゃないと無理だと私も思いますw

ティアナ王女は強くなれたんでしょうか・・
とても素敵なお話でした!またお邪魔します(`・ω・´)ゝ

  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/29 20:29分 
  • [Edit]

Re: kaorin114 さんへ 

こんばんわ!!
訪問&コメントありがとうございます♪

> ケイトとレムオンのやり取りがアツい(`・ω・´)
> レムオンを弄りたかった+ダガーで戦えるか実践してみたんですね!
そうなんです! わかっていただけましたか!笑

> でもあの動きはケイトじゃないと無理だと私も思いますw
ですよねーw
ケイトは体育会系なので「ガッツだぜ☆」で済ましそうです。

> ティアナ王女は強くなれたんでしょうか・・
強くはなれなかったでしょうね。
一応、ケイトも「私情で法を曲げてはいけない」という見識を持つほどなので、常識から外れたことはしないでしょう。た、たぶん←
お遊びたっぷりはお話でしたが、楽しんでいただけてなによりです♪
また暇なときにでもお越しください!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/29 23:27分 
  • [Edit]

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