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レディ・バレンタインと小さな演奏会

指慣らしを終えた四人は、だれが指示したわけでもなく目を合わせ、準備を整える。

「スリーカウントから、テンポは楽譜通りで」

エルバが呟き、三人ともがうなずく。
周囲から好奇の視線を向けられる。
手に汗がにじむのを感じる。

(冷静に……冷静に……)

エルバがバレンタインを見る。
第一声はエルバとバレンタインにかかっている。

「いくぞ」
「はい」

二人のヴァイオリンの弦が震えた。

ひっそりと始まった音合わせ。
最初こそ乱れていたテンポだが、メロディーが進むうちに整ってくる。

バレンタインはそれぞれの音色に耳を傾ける。

エルバはとても慎重に弾いている。
楽譜に忠実かつ、テンポを乱さないように懸命な感じだ。
コンサートマスターが似合いそうだが、今はすこし主張し過ぎている。

ユリは明るい性格が音色に出ている。
しっかりとした芯のある音を出し切れがいい。
反面、落ち着きがない。

ロイは物腰が柔らかいイメージ通り、おおらかな演奏だ。
だがユリのような切れのある音がない。
どこか勢いを欠いたよう。



心に残るしこりを覚えつつ、バレンタインは演奏を続けた。
音に統一感がない。
授業で習った通り弾いているはずなのに、どうしてこうもバラバラなんだろう。
歯がゆさに、つい眉を寄せてしまう。

ちらり、とこちらに目を向けるエルバ。
バレンタインは逃げるように体を動かし、目を伏せた。


演奏が終わり、聴衆から拍手が上がる。
四人は軽く頭を下げた。
ユリとロイは満足げに、しかし恥ずかしそうにはにかんだ。
エルバは口元に笑みをたたえただけだった。
バレンタインだけは笑顔になりきれず、複雑な表情を浮かべる。

(音楽って難しいのね)

何年もそれと一緒に過ごしてきたはずなのに、本当は音楽の「お」の字さえ知らなかったのだ。
表記されたことをこなせば、大体の人が同じように弾ける。
そう思っていたのに。


グループ課題は思った以上にくせものだった。






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*Comment

めっちゃ 

おひさしぶりです、続き読みました。
私少ししかギター弾けないんですけど、いろんな楽器と合わせて演奏したことあって、
その時テンポの取り方とか一人でやってると完璧な気がするのに合わせるとバラバラで、
ほんとに「合わせる」って難しいんだなぁと痛感しました。
毎回こういう共感があって非常に楽しいです(笑)

恋愛要素が濃くなってきた感じですかね?♪
  • posted by るる 
  • URL 
  • 2012.12/07 10:34分 
  • [Edit]

Re: るるさんへ 

お久しぶりです^^
訪問&コメントありがとうございます!

私もバンド組んでいるので、メンバーと合わせたときの難しさを感じているんです。
あまりにもずれてきたら、もう笑うしかないという(笑)

うまく恋愛を盛り上げられたらいいんですが・・・頑張ります!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/07 14:28分 
  • [Edit]

No title 

音楽を合わせるのは大変ですよね。
・・・というか、私もバレンタインじゃないですけど、人づきあいは苦手な方でですね。音楽は音楽で理解しあいますね。語らずとも、音楽で語る。・・・みたいなかんじでしたね。懐かしい。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2013.03/09 20:55分 
  • [Edit]

Re: LandM さんへ 

こんばんは。
返信が遅れてしまい申しわけありません。
訪問、コメントありがとうございます。
合奏中はテンポキープが難しいですね。なかなか合わないんですよね。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.03/11 22:45分 
  • [Edit]

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