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ネメア 【ケイト&ネメア】

フードを深くかぶった二人の旅人は――――北へと向かっていた。

最初こそ行く先をネメアに任せていたケイトだったが、寒くなるばかりの環境に音をあげ出した。
街道沿いの林は葉を落としきって丸裸になっていた。
しばらく青空を見ていない。
灰色の重い雲が空を塗りつぶしていた。

風にあおられる二人の旅衣。
鼻先をかすめる乾いた風に、かすかに冬の匂いが混じっていた。
肌を刺すような風の冷たさに身震いし、たまらずケイトは声を上げた。

「なぁ!」
「…………」
「なぁって!」

ネメアは横顔をすこし見せるだけで、黙々と歩き続ける。
はあ、とため息をこぼしてケイトはちいさく悪態をついた。

「聞こえてんなら、返事くらいしろっての」

ケイトは駆け寄り、苛立ったようにネメアの腕を掴んで振り向かせた。 

「このままじゃ凍え死ぬ。そろそろ南下しよう」
「なんのために」
「こっちこそ聞きたいよ。なんのために北上してんだよ」

ネメアは口元に微笑を浮かべると前を見て、再び歩き出す。

「自分のためにこの道を選んだのだがな。まだ理解できないか」
「アンタの考えてることがわかるのは大賢者様だけだろーよ。アタシには無理だ」

ネメアは顔を一瞬しかめて、わずかに首を振ると空を見上げた。
ここ一番の突風が吹きつけ二人のフードを外していく。
ネメアの金色の髪が風にあおられ、巻き上がる。
ぶるるっと震えて、ケイトはフードを慌ててかぶり直した。

「あ゛あ~ネモのあったかほやほやな体が恋しい。ここにいたらずっと抱きしめてるのに」
「引っ掻かれるのがオチだな」

「一言多い奴だな」と言いたかったが、寒さに唇が震えて言葉が出てこなかった。
歩幅の大きいネメアはケイトを気遣うこともなく、どんどん先に進んでいく。
ケイトは時々小走りに駆け寄る。しかし、追いついては離されてのくりかえしだった。

「なぁ!」
「…………」
「なあって!!」

今度は振り返りもしなかった。

ケイトは目を丸くした。
ほんの些細なことだったけれど、思考が止まりそうになった。
いつもなら人を見透かすような目を向けてくるはずなのに。
驚いて、うろたえて、立ち止まってしまった。

ネメアのまとう空気が知らない色をしていた。
あの大きな背中からなにを読み取ればいいのか分からない。

ここでお別れか、と思った。
それもいいか。とも思った。

以前にもこんな感覚に陥ったことがあったな、とうつろな頭で思う。
ボルボラを殺したあと、きっと自分は処刑されるだろうと分かっていた。
父の遺した畑を眺めながら、それもいいか、とぼんやりと考えていたあの頃……。

ネメアとの関係を振り返ると、途端に皮肉な笑みがこぼれた。
男と女の二人旅。でも、ヒューズとフィアのような甘い関係ではない。
友達という関係でもない。戦友、ではあるが甘ったるい感情はそこになかった。
ただ、強すぎた者同士が「孤独」という傷を舐め合うように一緒にいるだけ。

(アタシ……なんでアイツのそばにいるんだっけ……)

「っ!?」

背筋に鋭い殺気を感じ、瞬時に振り返る。
己の背丈よりもはるかに大きい体躯、大きな鎌を振り上げて迫ってくる闇の存在。
応戦しなければ殺される。
しかし、虚脱したあまりすべてがどうでもよく感じていた。

ケイトは殺意をむき出しに迫るモンスターを見上げた。

「ネメアがいらないと言うなら、ここに在り続けても意味はないんだろう」


無機質な鎌は、静かに振り下ろされた。



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