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すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Category [夏のスズラン ] 記事一覧

夏のスズラン 05

 清次郎の部屋はシンプルだった。 ベッドに机に、小さな本棚。 本棚には同じ名前の作家しか並んでいなかった。この作家のファンなのだろうか。 じーっと見ていると、部屋の扉が開いた。「その人、あんまり本を出さないんだ。でもすごく考えさせられる内容を書くから」 清次郎はペットボトルとコップを机に置きながら、「待ってしまうんだ」と言葉を落とした。 ひかりは清次郎から目を離し、本棚を見る。「静寂は青く。愛染。...

夏のスズラン 04

 雫と別れて――半ば強引に雫が帰宅して――ひかりは携帯を片手に住宅街をさまよっていた。 あのあとすぐ彼、清次郎からメールが届いた。 家に来て欲しいとの文面に、ひかりは目を白黒させ一人赤面しながら「分かりました」と返信した。(先輩、どういうつもりなんだろう……) ひかりは、清次郎から教えられた住所と行き方を頼りに、とぼとぼと歩く。 時折、熱いため息が出た。 今日は日差しが強いから、息が熱くなるのだろう。 ...

夏のスズラン 03

「怒るとすぐ泣くんだから」 ひかりは雫にファミリーレストランへと連れ出され、泣きはらした目をおしぼりで冷やした。 雫は頬杖をつきながらストローを口はしにくわえてジュースを飲んだ。 今日の雫は髪をポニーテールにして、夏らしい姿をしていた。「雫ちゃん、ごめんなさい」「ええ。そうね、すっごく迷惑かけられているね」「ごめんなさい……」 ぐずぐずになった鼻にティッシュを当てて、ひかりはしゃくり上げた。 雫はひ...

夏のスズラン 02

 次の日曜日のことだった。薄いカーテンから差し込む朝日は眩しく、気だるい暑さをはらんでいた。「はあ……」 七時半に目が覚めたひかりは、布団のなかで携帯をもてあそび、重いため息をついた。月曜日からずっと悩んでいたこと。毎週日曜日は彼と会う約束をしている。デート半分受験勉強を教えてもらうのが、半分。彼が卒業してから毎週日曜日が楽しみで仕方なかった。(今日は、会いたくない) 枕に顔を埋めて、また重いため息...

夏のスズラン 01

  目に見えてふてくされた顔をしている千里ひかりに、クラスメイトたちは軽く驚いていた。 あの天然かつ穏やかな千里ひかりが、不機嫌だ。 受験生になり進学クラスの空気はどこか殺伐としている。そして地上は夏を迎えていた。むっとした空気が漂う教室に苛立つ人は多いだろう。しかしそれを差し置いても、千里ひかりの不機嫌は今まで見たことないほど不機嫌だった。 昼休み。喧騒に満たされた廊下、教室の出入り口では男女が...

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